情報管理ソフト「0Design」 Ver.1.02

マニュアル


  1. はじめに


  2.  0Designは一般のデータベースとはちょっと違う発想で作られたデータベースソフトです。
     名前の通り、ソフトの操作するうえで、設計をするという作業が格別あるわけではありません。
     まず、データをコンピュータに入れることから使い始めるようになっています。余計な手間をかけることなく、すぐに使い始めることができます。

     このデータベースは1つ1つのデータを対等で独立したものとして管理します。
     どのようなデータもすべて同じ容器で一定の形式で格納されます。データを補助する情報(データの定義)というものが別途あるわけではないので、データだけで完結したものとして扱うことができます。

     そして、それぞれのデータに合わせた形で自由に入力していくことができます。データ同士の関連もデータごとに自由に持てます。今までできなかったようなデータ表現が可能です。

     これまでのデータベースは定型的で大量のデータを効率的に処理することを目的に作られていました。それに対して0Designは形のはっきりしない少量のデータを処理することを目的としてデザインされています。


  3. 操作の流れ


  4.  起動するとファイル画面が表示されます。

     そこからデータというボタンを押すとデータ画面が出てきてデータの入力ができるようになっています。
     まずは、データの値をそこで入力してください。
     それで、余裕があれば項目名を入れてください。項目名は一回入力すると次からは一覧から選ぶことができるようになっています。
     別のデータを入れたいときはデータ画面の下のボタンで次に進めて新しいところに移ってまたデータを入れてください。

     入れたデータをまとめて一覧したいときは、Viewを使います。
     View(全表示)というボタンを押してデータを全件一覧できます。
     データ数が増えたりして全表示では見づらいときは出るデータや表示項目を絞って表示することが可能で、その設定を登録しておくことができます。
     また、一覧にもデータボタンはあり、表示されているデータに対して更新や入力をすることも可能です。

     ViewではデータをHTMLのテーブル形式で出力できるので、とりあえずこのソフトでデータを入れておいて、あとで、表計算ソフトや他のデータベースソフトに取り込むことができます。


  5. データの持ち方について、


  6.  このソフトではデータという呼び方で情報を管理します。
     データベースの用語で言うところの実体(entity)や関連(relationship)に対応した情報を保持します。

     データは項目で構成されます。
     項目は項目名と値の対で、○○が××であるという情報を表現します。
     そして、その項目がある事柄について幾つか集まったのがデータです。

     どのデータでも項目は自由につけることができます。1つのデータにいくつ項目があってもかまいません。
     そして、項目には項目名がなくても、あるいは1つのデータ中に同じ項目名の項目が複数あってもかまいません。

     そうして、さまざまなデータを必要な数だけ作成することができ、そうしたデータはまとめてファイルとして保存することができます。

     以上がデータの格納に関する基本的なことです。



  7. Viewについて


  8.  データを一覧表示したものです。
     項目ごとに値を表示します。
     表示するデータを条件で指定して絞り込むことができます。
     そして、並べ替えの設定もできます。
     データ中に項目が複数ある場合、すべてを並べて表示します。
     Link(後述)しているデータも含めてのView表示も可能です。


  9. Linkについて


  10.  Linkによってデータ間の関係を指定し、データ構造を表現することができます。
     あるデータに関連して別のデータがあればLinkで指定できます。
     Linkは元となるデータ中に項目の値として格納します。そうして、何のためのLinkかを表すために項目名を付けられます。
     Linkは関連するデータを条件で指定します。
     条件はLinkが格納されているデータ以外のデータに対して判定し、合致しているデータがそのLinkで表された値として処理できます。
     Linkの判定をする時は、判定先のデータの中にあるLinkまでは評価しません。

     各データごとに指定するので、一部だけ構造が違うような情報を格納していっても、それぞれの形式に応じた表現を持たせることができます。

    (Link自体は純粋に条件のみを保持し、必要なときに評価され現在あるデータから該当するデータの集合を返します。こうすることでデータにいくら変更がかかっても矛盾が生じることのないようにしています。)


  11. 項目名について


  12.  項目名は文字列で入力します。
     同じ項目名のものは同種の項目として処理します。


  13. 値について


  14.  値は基本的に文字列で入力していきます。
     Viewで条件を判別したり、整列を行う時に文字列を数値、日付として評価することが可能です。
     他のデータとの関連を持たせたいときは値の種別をLinkにして、関連するデータがどのようなものかを選ぶ条件を指定します。
     値はその他にイメージ、ファイル、オブジェクトという種別の値を格納できます。


  15. 画面の構成


  16.  主に3つの画面で構成されます。

      ・ファイル画面
        ファイルごとに表示されます
        登録されているViewの一覧を表示します
      ・View画面
        データを項目ごとに一覧表示します。
      ・データ画面
        個々のデータを表示、入力変更を受け付けます。


     ファイル画面は1つのファイルにつき1画面表示されます。ファイル画面が閉じるときは関連するすべての画面が閉じられてからファイルが閉じられます。
     View画面やデータ画面はいくつでも表示することが可能です。


  17. ファイル画面について


  18.  各ファイルごとにファイル画面が表示されます。
     ファイルを開くと必ずこのファイル画面が1つ表示されます。

     ファイルに格納されているデータ全体に関する処理を行います。画面にはデータの件数が表示され、その下に登録されているViewの一覧が表示されます。

     この画面でViewの管理やファイルの読み書きなどを行います。
     ファイル画面からデータ画面やView画面を新たに表示させることができます。

     ファイル画面を閉じると関連するすべての画面(データ画面とView画面)が閉じます。


  19. データ画面について


  20.  ファイル画面やView画面でデータ入力ボタンを押すと表示されます。
     データを入力したり更新する時は、この画面で行います。
     下のボタンやスライドバーでデータを切り替えます。新たなデータを追加したいときは最後尾のデータが未入力の状態になっているので、そこに入力してください。

     項目名はすでに入力されている項目名の一覧から選ぶこともできます。
     値は基本的に文字列を入力しますが、データ間の関連を指定したいときはLinkを入力します。
     各データ画面で移動できるデータは呼ばれた画面とその方法によって変わってきます。
     ファイルからのデータ画面ではすべてのデータ。View画面からのデータボタンではViewの条件に合致しているデータが対象になります。


  21. View画面について


  22.  Viewについて表示と作成、変更を行います。

     項目ごとに値を一覧表示します。
     表示項目、対象となるデータを絞る条件、整列順を指定することができます。
     Linkされたデータも含めて表示することもできます。

     また、手動で各データにマークを付けてマーク付のデータのみ表示させることもできます。

     さらに、表示されているデータに対して一括して項目の変更や追加をすることもできます。

     右下に条件に合ったデータの件数と表示中のデータの件数を表示しています。項目の指定によっては条件に合ったデータが全件表示されないことがあるのでこの表示で確認してください。
     View画面からデータボタンを押すとViewの条件に合ったデータの集まりに対してデータ画面を表示するようになります。


  23. Viewの設定方法について


  24.  View画面上部に列指定、条件指定、整列指定のボタンがあります。ボタンはそれぞれの設定ダイアログボックスに対応しており、Viewについて設定ができるようになっています。



  25. Linkデータ確認画面について


  26.  Linkで関連付けたデータを一覧表示します。
     Linkの値が表示されているところを選んでメニューからLink確認表示を行うと表示されます。
     基本的にはView画面と同じですが、条件がLink用の条件しか指定できない点、一覧されているデータからさらにLinkされたデータを表示しない点が違っています。
     この画面はLinkの確認のために使います。定義を変更しても元のLinkには反映されません。


  27. 値の種別について


  28.  基本的には文字列です。
     イメージやファイルも値として取り込むことができます。
     イメージはGIFとJPEGを表示可能です。
     まだ試用段階ですがオブジェクトも値として取り込むことができます。ただし、オブジェクトのクラスはユーザークラスではなくSerializableとCloneableインターフェースをサポートしている必要があります。


  29. 補足事項


  30. View画面に関して
    • View画面の表示について
       View表示後に行った個々のデータ入力は表示には反映されません。
       反映したものを見たいときはメニューから再表示を行ってください。

    • View画面でLinkも表示したときのデータ関連表示について
       1行上に表示されているデータとの関連を表示します。リンクが何段階同じかで"-"の数を決めています。上のデータより"-"が多ければ上のデータからLinkされていることを示しています。なお、"-"の数はLinkの深さを示すものではありません。
       また、Linkのまとまりの1番上の行のデータはLinkからのデータを表示している場合でも"|"の表示となります。

    • View画面からのデータ画面について
       これはデータボタンを押した時点でのViewの条件に合ったデータについて処理をします。
       あとで条件を変えてデータが条件に合わなくなっても、あるいは他のデータ画面でファイルから削除されたとしても、そのまま処理されます。

    • Linkデータも表示されている場合追加されるデータ画面表示ボタンについて
       Linkデータも表示されている場合、"-"ボタンと"|"ボタンが表示されます。
       "-"ボタンを押すとデータ(Linkされているデータの場合はそのデータ)を表示し、その他にLink元のデータを遡って移動できます。
       "|"ボタンを押すとデータ(Linkされているデータの場合はそのデータ)を表示し、View上に出ているデータのままに移動できます。

    • View画面でのデータ一括処理について
       データに対する一括処理は条件に合ったデータではなくViewとして画面に表示されているデータを対象にします。
       Linkを表示させているときでも、Linkの元となったデータのみを対象にします。
       項目が表示対象のものがない場合、マークしか表示させないようにしているときにマークがない場合データは条件に合っていてもViewに表示されません。

    • View画面の値貼り付けについて
       すでに値のあるところにしか貼り付けられません。

    • Viewの選択について
       飛び飛びでの選択での処理がうまくいきません。

    • View画面の表示列操作について
       列をドラッグして位置や幅を変更できますが一時的なもので再表示させると元に戻ります。


    Linkに関して
    • Linkの条件について
       Viewの条件ではデータ中のLinkで関係付けられたデータまで評価することができますが、Linkの条件の場合、Linkの存在するデータを除いたデータをそのまま(Linkを無視して)評価するだけです。
       したがって、Link指定からの条件定義画面では演算子のLink、式の評価でのLink先項目指定ができないようになっています。

    • Viewの条件定義をLinkの条件定義としてコピーしたときの注意点
       Viewの条件で定義した演算子のLinkはコピーしても評価は無効になります。Link先の設定は対象外に変更されます。


    • Linkの条件定義をViewの条件定義としてコピーしたときの注意点
       Linkの条件で元の項目と同一値を指定していた場合、コピーしても評価は無効(該当データなし)になります。


    コピーについて
     システムのクリップボードにはメニューでコピー、切り取りしても入りません。また、メニューで貼り付けしてもシステムのクリップボードから貼り付けることはできません。
      例外としてテキスト入力(入力カーソルのある状態)でキーボードからCtrl+CやCtrl+Xを押した場合、対象となった文字列がクリップボードに入ります(これはWindows環境のみかもしれません)。同様にテキスト入力部分でCtrl+Vを押した場合は、クリップボードの文字列が貼りつけられます。

    右クリックについて
     データ画面とView画面で右クリックしてポップアップメニューを表示できます。右クリックだけでは選択されませんので、いったん、左クリックでセルを選択してから右クリックするようにしてください。

    Linkデータ確認で定義した条件について
     Linkデータ確認で条件を変更しても元のLinkには反映しませんLink確認画面で定義した条件をLink定義に使いたいときはView定義をコピーもしくは条件をコピーしてから貼り付けてください。

    値一覧について
     現在登録されている値を項目名ごとに一覧表示し、一覧から選択することで値や項目を入力できる機能です。データ画面、条件画面などで利用できます。

    コマンドラインパラメータについて
     引数ではじめから開いておくファイルを指定できます。
        java -jar 0DIM0102.jar xxxxx
         (xxxxxは初めから開いておきたいファイル)
        上記のように指定してください。

    ショートカットキーについて
     文字を入れるところに入力カーソルがあるときはCTRL+C CTRL+X CTRL+Vはシステムクリップボードの操作と解釈されます。

    ファイルの互換性について
     古い版で作成したファイルは読めるはずです。この版で作ったり、更新したファイルは古い版の0Designでは読めません。


  31. アドバイス

  32. データ数に関して
     プログラム上では特に制限を持たせていません。
     マシンの性能やLinkの作り方にもよりますが快適な速度で動くのは私のマシン環境(P3-650MHz)であれば数千件ぐらいまでであると思います。
     また、環境によって変わるので何件までと明示できませんが、すべてメモリー上で処理するため件数が多くなったり、サイズの大きな値を扱ったとき、メモリー不足が発生して処理できない場合も起こります。


    Linkに関して
     Linkを処理して無限ループに陥ることはないようにはしているつもりですが、Linkの作り方を失敗して不要なデータまで関連付けしていると処理に長い時間がかかることがあります。Linkを定義するときは十分注意する必要があります。
     Linkは最低限にとどめておいたほうがいいと思います。
     Linkに指定する条件は使える場合には元の項目と同一値の指定を使ったほうがいいでしょう。同じようなデータで使いまわしができます。うまくやればView画面の項目を一括して追加のメニューで一度に設定できるはずです。


    ViewのLink付き表示
     ViewでLinkも含めて表示するときは条件で絞ってから表示するようにしないと思いのほかに時間がかかることがあります。


    入力するデータに関して
     自由度のある分、どのように情報を持たせるのか各人の使いこなしに大きく影響されると思います。作者の私でも使い方の指針というものがまだはっきりとつかめていないところがあります。
     まず、データを入れていくことから、いろいろと試してもらえたらいいと思います。
     hint.txtというファイルに私の考えをまとめています。
     また、あまりいいできとは言えませんが、サンプルのデータファイルを参考にするといいかも知れません。



  33. お断り

  34.   このソフトを使用によって生じたいかなる損害に関して、作者は一切の責任を負いません。利用者の責任に於いて使用してください。


  35. あとがき


  36.  同じ種類のものは同じ項目構成でデータ表現する。
     それは、多くのデータベースに限らず、XMLやプログラミングのクラスにいたるまでほとんどの情報表現形式が前提としていることです。
     でもこのソフトを使ってみれば、そのやりかたは必ずしも現実に合っているとはいえないことに気づくでしょう。
     このソフトのようなやり方をすれば、今までコンピュータで扱うことのなかったような情報も扱うことができ、今までとは違うコンピュータの世界が広がる可能性があります。
     そうして、このデータベースを使っていくうちに感じることだと思うのですが、だんだんと混沌としたものになっていきます。まるで現実世界と同じように・・・。

     今回、0Designはフリーソフトとして公開しましたが、その中心となるデータ処理部分について公開するかどうか決めかねています。
     それぞれのデータが独立して形を維持したまま存在できるこのデータ表現方式、その使い道はいろいろあるように思います。特に異なるアプリケーション間のデータのやりとりには向いているように思うのですが。使ってみるつもりの人(企業、団体、サークル)はいませんか。

     最後に、私の作ったソフトを興味を持ってくださった方々、とりわけメールいただいた方々と配布に協力していただいた方々に感謝します。


                  2001年5月

    GCG02155@nifty.ne.jp   中田 智