
始まり
海上鉄道による交易の盛んな、船の無い港町。
イルミナートと呼ばれる機関に所属するテムルは、ある仕事を請け負い、
深夜近辺の森中に訪れていた。
『そこに居る人物から、ある物を強奪する』為に。
隙を突き、強奪に成功したテムルは翌朝、隣村の依頼者の元へ赴くが……。
『夜』に囲まれた終末目前の世界。
黒いドーナッツの中に住まう人々。
この狭き世界には、三つの人種が存在している。
- 滅びを運命として受け入れる者
- 滅びを「神の救済」と賛美する者
- 新たなる生の大地を求める者
単純な思想、汚れた外聞。
終わりゆく僅かな時の中で、己の信念を貫き、戦い、
そして最後に得るものとは……。
世界
イルミナート
便所掃除から要人暗殺までを、一手に引き受ける機関。
厄介事を多く扱う人材派遣会社の様なもの。
その所為か粗野な者が多く、世間での評判はあまり芳しくない。
永遠の夜(テヒル)
世界を包み込む漆黒。生物はこれに触れるだけで塵と化す。『世界の浄化』『世界滅亡』など、
様々な解釈がされている。だが、終末の象徴である事に変わりはない。
徐々に世界はこの漆黒に狭められている。
オアシス
地上を指す言葉。
永遠の夜が過ぎ去った地は塵と砂しか残らない為、
皮肉を込められてそう呼ばれている。
虚獣(タルポイド)
永遠の夜に次ぐ恐怖の対象で、執拗に人を襲う怪物の総称。
が、絶対に襲われない人間も何故か多数存在している。
どこから来て、どのように生まれるのかは不明。
ゴーレム
土塊から生成される、物言わぬ人造兵。
ルリア教団が多数所有しているが、その用途は不明。
中には言葉を使えるゴーレムも存在するらしい。
蒼籃の民
幻の都メディナに住まう住人の総称。
尤も、迷信の中の存在に過ぎない為、言葉だけが存在しているだけである。
ツァディーク
イルミナートに属する者の代名詞的呼称。
正確にはパラノーマル・フェノメナ(超常現象)を起こす者達の総称とされる。
その為、不条理な迫害を受ける者達も大勢存在していた。
しかし今現在はさしあたって、特異な存在ではない。
マラノ人
オアシスに住まう住人、つまり地上に住む人間の総称。
メディナ
二大迷信の一つ。
天に浮かぶ、文明崩壊以前の都市と云われている。
多くの人は其処にレムリアへの鍵があると信じている。
ルリア教団
ゴーレムを用い、あらゆる土地を巡り歩く謎の集団。
永遠の夜は世界の救済と唱える為、人からは常に警戒されている。
又、人攫いが相次いでいるのもこの集団の仕業と囁かれる。
しかし、レムリアを求めているという点もあり、一層理解し難い存在である。
レムリア
二大迷信の一つ。
生ける者達を永遠の夜から、須らく救済すると云われる新世界。
知らぬ者は居ないほど有名な迷信ではあるが、その地を目にした者は誰一人いない。
参考・引用:ユダヤ教 カバラ・メシアニズム他