文型9-1,9-2解説

文型9-1

 ひとつの文のなかにふたつのことがらを述べるとき、はじめの述語は中止形をとる。中止形は連用形からつくられる。

        中止形
 よむ。     よみ、  
 白し。     白く、
 豊かなり。  豊かに、
 山なり。    山に、

文型9-1(2)

1なり 動詞「なり」連用形。中止形の述語。

2にくみ 動詞「にくむ」連用形。中止形の述語。

3おろし 動詞「おろす」連用形。中止形の述語。

4なく 形容詞「なし」連用形。中止形の述語。

文型9-1(3)

1なく 形容詞「なし」連用形。中止形の述語。

文型9-2

 中止形は、または、連用形+「」(または「して」)によってつくられる。 「」「して」は接続助詞といわれる。

         中止形
 よむ。    よみ
 白し。    白く、白くして
 豊かなり。  豊かに、豊かにして
 山なり。   山に、山にして

文型9-2(2)

1つきおどろかして 動詞「つきおどろかす」連用形+「て」。

2もたげて 動詞「もたぐ」連用形+「て」。

3おぼえて 動詞「おぼゆ」連用形+「て」。

4さしいりて 動詞「さしいる」連用形+「て」。

 いずれも中止形の述語。

文型9-2(3)

1むつかしくて 形容詞「むつかし」連用形+「て」。
 中止形の述語。

9応用1

 中止形には、否定のばあいもある。打消「ず」の連用形、連用形+て または 連用形+して の形がもちいられる。

よむ。     よま、    よまて、
                  よまして、
白し。     白から、   白からて、
                  白からして、
豊かなり。   豊かなら、  豊かならて、
                   豊かならして、
山なり。    山なら、   山ならて、
                  山ならして、

1いはず 動詞「いふ」未然形+「ず」連用形。

2みえず 動詞「みゆ」未然形+「ず」連用形。

3わたりたまはず 動詞「わたる」連用形+尊敬「たまふ」未然形+「ず」連用形。

 いずれも、打消の中止形の述語。

9応用1(2)

1きせずして 動詞「期す」未然形+「ず」連用形+接続助詞「して」。

2おぼえずして 動詞「おぼゆ」未然形+「ず」連用形+「して」。
 
 いずれも、打消の中止形の述語。

9応用2

 ここでは、形容動詞が連用形+「て」であらわれてくる場合と、述語になっている名詞が中止形として、つかわれている場合をあげる。

 をかしげにて 形容動詞「をかしげなり」連用形+「て」
 をりて 名詞「をり」+断定「なり」連用形+「て」

 また、打消の連用形は、「ず」、「ずて」、「ずして」のほかに、「で」でおわる中止形がよくつかわれる。「で」は未然形に接続し、打消の接続助詞といわれる。

  よむ。 よま、よまて、よまして、よま

1をかしげにて 形容動詞「をかしげなり」連用形+「て」。

2をりにて 名詞「をり」+断定「なり」連用形+「て」。

3かたちにもあらず 名詞「かたち」+断定「なり」連用形+係助詞「も」+補助動詞「あり」未然形+「ず」連用形。

4まゐらで  動詞「まゐる」未然形+接続助詞「で」。

 いずれも中止形の述語。

9応用3

 中止形の述語には、連用形、連用形+「」または「して」の形のほかに、つぎのようなものがある。

 よむ。よみ、 よみ、 よみつつ、 よみながら

 白し。 白く、白く、白くして

 のどかなり。 のどかに、のどかに、のどかにして

 山なり。 山に、山に、山にして

 「つつ」と「ながら」は動詞の連用形に接続して、「くりかえし」または「同時」の動作をあらわす接続助詞といわれる。

1つるうちしつつ 動詞「弦打ちす」連用形+「つつ」。 くりかえし。

2おもひつつ 動詞「おもふ」連用形+「つつ」。 同時的な動作。

3いそがれたまひつつ 動詞「いそぐ」未然形+自発「る」連用形+尊敬「たまふ」連用形+「つつ」。 くりかえし。

4しりながら 動詞「しる」連用形+「ながら」。同時的な動作だが、逆接の意味もふくまれている。