ひとつの文のなかにふたつのことがらを述べるとき、はじめの述語は中止形をとる。中止形は連用形からつくられる。
中止形
よむ。 よみ、
白し。 白く、
豊かなり。 豊かに、
山なり。 山に、
1なり 動詞「なり」連用形。中止形の述語。
2にくみ 動詞「にくむ」連用形。中止形の述語。
3おろし 動詞「おろす」連用形。中止形の述語。
4なく 形容詞「なし」連用形。中止形の述語。
1なく 形容詞「なし」連用形。中止形の述語。
中止形は、または、連用形+「て」(または「して」)によってつくられる。 「て」「して」は接続助詞といわれる。
中止形
よむ。 よみて、
白し。 白くて、白くして、
豊かなり。 豊かにて、豊かにして、
山なり。 山にて、山にして、
1つきおどろかして 動詞「つきおどろかす」連用形+「て」。
2もたげて 動詞「もたぐ」連用形+「て」。
3おぼえて 動詞「おぼゆ」連用形+「て」。
4さしいりて 動詞「さしいる」連用形+「て」。
いずれも中止形の述語。
1むつかしくて 形容詞「むつかし」連用形+「て」。
中止形の述語。
中止形には、否定のばあいもある。打消「ず」の連用形、連用形+て または 連用形+して の形がもちいられる。
よむ。 よまず、 よまずて、
よまずして、
白し。 白からず、 白からずて、
白からずして、
豊かなり。 豊かならず、 豊かならずて、
豊かならずして、
山なり。 山ならず、 山ならずて、
山ならずして、
1いはず 動詞「いふ」未然形+「ず」連用形。
2みえず 動詞「みゆ」未然形+「ず」連用形。
3わたりたまはず 動詞「わたる」連用形+尊敬「たまふ」未然形+「ず」連用形。
いずれも、打消の中止形の述語。
1きせずして 動詞「期す」未然形+「ず」連用形+接続助詞「して」。
2おぼえずして 動詞「おぼゆ」未然形+「ず」連用形+「して」。
いずれも、打消の中止形の述語。
ここでは、形容動詞が連用形+「て」であらわれてくる場合と、述語になっている名詞が中止形として、つかわれている場合をあげる。
をかしげにて 形容動詞「をかしげなり」連用形+「て」
をりにて 名詞「をり」+断定「なり」連用形+「て」
また、打消の連用形は、「ず」、「ずて」、「ずして」のほかに、「で」でおわる中止形がよくつかわれる。「で」は未然形に接続し、打消の接続助詞といわれる。
よむ。 よまず、よまずて、よまずして、よまで、
1をかしげにて 形容動詞「をかしげなり」連用形+「て」。
2をりにて 名詞「をり」+断定「なり」連用形+「て」。
3かたちにもあらず 名詞「かたち」+断定「なり」連用形+係助詞「も」+補助動詞「あり」未然形+「ず」連用形。
4まゐらで 動詞「まゐる」未然形+接続助詞「で」。
いずれも中止形の述語。
中止形の述語には、連用形、連用形+「て」または「して」の形のほかに、つぎのようなものがある。
よむ。よみ、 よみて、 よみつつ、 よみながら、
白し。 白く、白くて、白くして、
のどかなり。 のどかに、のどかにて、のどかにして、
山なり。 山に、山にて、山にして、
「つつ」と「ながら」は動詞の連用形に接続して、「くりかえし」または「同時」の動作をあらわす接続助詞といわれる。
1つるうちしつつ 動詞「弦打ちす」連用形+「つつ」。 くりかえし。
2おもひつつ 動詞「おもふ」連用形+「つつ」。 同時的な動作。
3いそがれたまひつつ 動詞「いそぐ」未然形+自発「る」連用形+尊敬「たまふ」連用形+「つつ」。 くりかえし。
4しりながら 動詞「しる」連用形+「ながら」。同時的な動作だが、逆接の意味もふくまれている。