兼好法師の随筆「徒然草」の第189段。
世の中のことはいっさい結果が決まっておらず、「不定」と理解することだけが真実である。
1あらぬ:動詞「あり」+打消「ず」連体形からできた連体詞。そうでない。別の。
2紛れ暮らし:予定していたことができずに、一日が終わってしまう。
頼め:下二段動詞「頼む」未然形。予定していた、期待していた。
3来たり:カ変の「来(く)」ではなく、四段の「来る」。やってくる。
4わづらはしかりつる:形容詞に完了の助動詞(動作が終わったことを表す)がつくことはおかしい。もし、つけば、強意になるだろう。ここでは、たんに過去のように働いていて、純粋の古代語にはなさそうな使い方になっている。
1やすかるべき:推量「べし」当然の用法で、当然たやすいはずの。
2心苦し:うまくいかなくて、気がもめる。
3かくのごとし:今年はこうしようと思っていたのとは違って、一年が過ぎ去る。
4しかなり:自分の一生でこうしようと思っていたのとは違って、一生が過ぎ去る。
2いよいよものは定めがたし:何事も予定通りにいかないのかと思うと、予定通りにいくこともあるのだから、ますますものごとは予想しがたい。
3不定:定めがたく、不確かなこと。偶然に支配されているということ。