撰集抄10
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1断つ ことの 心憂さ 今も、もとどり 切らむと 思ひ 侍る こと 一日に
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2かならず 二度、三度は 思ひ出でて、涙の こぼるるなり。 その 折しも、
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3父の 具足の 中に 何と なき        歌ども 書き置き 侍るを 見て、
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4心を 慰むるに 侍り。妻子と いふ ものも なくて、すでに 五十年あまりの 年を
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