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意識が眠りから覚めた。
辺りに耳を澄ましてみるが、どうやら誰もいないらしい。
手探りで台座を探し当て、体重をかけ立ち上がった。
あとは勝手の知った部屋だから見なくてもわかる。

窓のあるほうへまっすぐ歩き開け放つ。
湿った風が流れ込んできた。
雨が降る気配を感じた。
窓を閉めてもう一度あたりに耳を澄ます。

どうやら廊下にもだれもいない。
「サブリナ…? どこにいるの…?」
部屋から外に出てみた。
誰の足音も聞こえない。
いつもなら、誰かしらが部屋の外にいてくれて、声をかけてくれたのに。

少し不安になった。
とにかく誰かに会いたい。
そう思い、誰かを探して館の中を歩き回ることにした。
普段目を使わない分、耳には自信がある。

だけど今日はおかしい。
誰の足音も、気配も感じなかった。
館の中には誰もいそうにないので、外に出てみることにした。
廊下に敷きつめられたやらわらかな絨毯に沿って歩いて行く。
階段を踏み外さないように一段一段、慎重に降りていく。
いつもは誰かが付き添ってくれるから踏み外すことはないが、今は誰もいない。
5分くらいかけてようやく下へと降りた。
ここまでは玄関はもうすぐだ。

扉に手をかけるのと同時に、外から雨音が響いてきた。