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部屋のいたるところには書籍が積み重なれており
常人では解することが不可能な文字にて描かれた魔法陣が存在していた。 部屋は四面すべてが石で出来ており、温かみとは無縁な世界が広がっている。 床に、壁に、天井に。 いたるところに魔法陣はそこにいる。 部屋を照らしているのは四隅に一本ずつ置かれた蝋燭のみ。 薄暗い灯りの中には、浮かぶ人の形をした大きな影がひとつ。 大きな影は部屋の中央に立ち、左手に本を持ちじっと眺めている。 男は一つの願いを思い、実行しようとしていた。 未来を見る力。 先人の誰もがそれを試み、すべてにおいて失敗していた。 男は叫んだ。 その刹那、辺りは白に染まり全てが飲み込まれた。 |