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豪華な屋敷に大きな応接室。
部屋の中にはどれも一般人が買えないような家具や調度品が並べられている。 この部屋へと招かれた男はソファーへ腰を下ろし退屈そうに辺りを眺めていた。 しばらく無言でそれらを眺めていたが口元に手を運び、抑えた。 笑みが浮かぶ。 どうやら、自分は笑っていたらしいと気づく。 「ふ…。どうも、いけないな…。」 すぐに感情をコントロールし普段の自分へと戻る。 ちょうど同じタイミングで部屋の扉が開けられた。 この家の使用人らしき女性が部屋の扉を開いたらしい。 自分を招いたと思われる男が入ってきたので、立ち上がり軽く頭を下げた。 「ふん…。まあ、座れ。」 入ってきた男は早足で椅子へと座り落ち着きなく手足を動かしている。 「まずお前の名前を聞こう。」 相手の顔を見ずに問いを発する男に対し、招かれた男はじっと相手の顔を見つめて答えた。 「私はヒューズと申します。よろしくお願いします。」 座ったまま、もう一度頭を下げる。 こういう相手には、ひたすら低い姿勢で行くのがいい。 長年のカンがヒューズをそうさせていた。 「さて、早速だが用件に入るぞ。わしも忙しいのでな。」 腕を組みようやく落ち着きを見せた男はヒューズを見た。 「単刀直入に言う。この家にエリンという娘がいるのだがそいつを殺してほしい。」 一瞬、笑顔が崩れただろうか。 |