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月 >>関連項目一覧


地球の周りを回る衛星。不思議なことに月と太陽の大きさが1:400、そして地球からの月と太陽の距離も1:400であるため、地上からは、ほぼ同じ大きさにみえる。太古の昔から人間の生活と深く関わってきた星だけに、世界各地に神話や伝説が数多くみられる。

月の名称・呼称
ムーンMoon:英語
ブルームーンbule moon:長い間。ありえないもの。暦上ひと月に2回満月があること。青く見える月。
ツキ:日本
玄兎(げんと):日本(中国?) 月の異称
太陰(たいいん):中国
チュプchup:アイヌ
aningâq,aningâk:イヌイット(西グリーンランド)qâumatとも(空の月、暦の月の両方の意味)
ラ:ミャンマー
チャンドラ:インド:神
ラビエ:インドネシア東部セラム島ヴェマーレ民族(月=女神)
シナリ:ソロモン諸島マライタ島ラウ民族
バールー:アボリジニ:男神
ママキーヤ:インカ:女神
初夏の高度の低い月は赤く見え、英語圏ではストロベリームーンという。月の高度は夏低く、冬高い。(北半球の場合か)

月の模様については、世界各地で様々な解釈、伝承が見られる。

ヨーロッパ 月に住む男の顔
ヨーロッパ:ギリシャ ゴルゴネイオン(メデューサの首)
ヨーロッパ:北欧神話 マーニに連れ去られた天秤棒を持つ子供たち
ヨーロッパ:ポーランド 月に昇った魔術師トファルドフスキ
ヨーロッパ:ポーランド 片膝でバイオリンをひく聖ゲオルグ
ヨーロッパ 働きすぎて教会にいかない罰で月にあげられた男
アジア:モンゴル ウサギ
アジア:ナナイ,ボリヤド,ヤクート,ドルガン民族 桶と天秤棒を担いだ娘
アジア:漢民族 ヒキガエル
アジア:漢民族 菜をつくウサギ
アジア:日本 臼と杵で餅をつくウサギ
アジア:アイヌ民族 手桶を持って立たされてる怠け者
北アメリカ先住民族のある民族 農具を持つ男
南アメリカ:マヤ民族 ほら貝の殻をもった老人

月にまつわる物語では、ナナイでは蛙の娘が月にのぼる話があり、漢民族にも月の仙女ジョウガ(コウガ)がいて、やはりヒキガエルと関連がある。 日本でも月の天女かぐや姫と、アジアでは女性と関係性が強いのかもしれない。南アメリカの先住民族では老人に関係づけられるようだ。 マヤ民族がそうであるし、古代メキシコの月の女神イーシュチェルは「おばあさん」と呼びかけられる。

月の神が男神か女神かは太陽神とも関わりがある。2つで対だと考えられる場合もあり、どちらかが男なら、片方は女、といった具合である。 ヘレネス(ギリシャ)では太陽と月は双子の兄妹、アポロンとアルテミスである。
あるいはローマの月の女神ルナ(ギリシャのセレネ)がいる。
月の満ち欠けの起源物語があるバルトの月の男神メーネスも一説では女神だともいう。 北欧神話では神々が人間に年月を数えるために満ちゆく月と欠けゆく月をつくったといい、太陽と月の御者はその名をつけられたため神の怒りをかった 娘ソール(太陽の意)、息子マーニ(月の意)。
他には、古代シュメールでは月神シンは男神。 ローマのディアナは女神である。フランスではシャルルマーニュの12勇士の一人がグリフォンに乗って月まで行く物語もある。 また古代南アメリカ、マヤの伝承では理想郷をつくる王子が、恋人の娘とそれぞれ太陽と月になる話がある。
インカの神話では月神ママキーヤは太陽の妻の女神だった。

太陽と月の対比でとしては、その起源が巨人の目からそれぞれ太陽と月ができた、あるいは原初の世界のもとになった卵の黄身が 太陽、白身が月になったという物語もある。
左目/右目
太陽− 月:バンコ(盤古):中国
太陽− 月:イザナギ:日本
月 −太陽:ホルス:エジプト


複数の太陽と月が弓矢によって射落とされる物語も多くの民族にみられる。

その他に、多くの古代の民族では、月は死んだ最初の人間だと考えられていたようである。古代インドでは死んだ祖先たちの暮らす「ピトリス」は天の最も高いところの死者の国、月だと考えられていた。

他には動物との関連性もみられる。イヌイット、ユッピック民族の伝承では月のユアは動物を制御するという。また、女性の月経の由来が月に関連する物語もある。

月と魔術も深くかかわっている。以下、いくつか伝承をあげる。

呪術のいくつかは月が満ちる時に行わなければならなかった。 ジェラード、ターナー、カルペパーの占い本草誌には彼らが処方する治療法には月の影響力が重大と考えていたことがわかる。 プラトンも「テッサリアの巫女は空から月を取り去ることができた」と書き残した。
オウディウスは「呪術で星が血を滴らせ、月が血のようにパープル深紅色になった」という話を伝える。


シェークスピア
「こいつの母親は魔女、しかも力を使わず、
意のままに、月を支配して、
潮の満ち干を操るほど強いやつだった」
(テンペスト第5幕第1場)


月の名称
暦とも関係するが、太陰暦で月の満ち欠けで日にちを数えていた名残等もあり、月の形状に様々な呼び方がある。
・日本
朔日(ついたち 1日 新月)
三日月(みかづき 3日)
十五夜(じゅうごや 15日 満月 望月もちづき)
十六夜(いざよい 16日 既望 満月の次の日 いさよう[停滞する])


その他の月関連の名称
・残月(ざんげつ) [日本] (明け方まで空に残っている月。有明の月。のこんの月。)
中秋の名月 [日本] (中秋の満月、十五夜の月)
・クレセント クレッセント crescent [英語 他] (三日月、新月、弦月 三日月形)
crescent of the moon
※ヨーロッパ(英語、フランス語、ラテン語他)
※元はアングロフランス語cressaunt、ラテン語crēscentem 「出てくる、成長する」の意味から
※クレシェンド クレッシェンド crescendo はイタリア語から 「成長する」の意味から


 
関連項目一覧
月食(月蝕) 【大項目:月】
アグリボル 【パルミュラ:神:月】
アルテミス 【ヘレネス(ギリシャ):月の女神】
イルマタル 【スオミ:女神:月の起源】
ゲッセイ(月精) 【中国:月:精】
コウガ(姮娥) 【中国:仙女:月】
ジョウガ(嫦娥) 【中国:仙女:月】
ソーマ 【インド:神、薬】
チャンドラ 【インド:神:月】
チュウシュウ(中秋)[の名月] 【中国、日本:伝承、祭事】
チュップカムイ 【アイヌ:神:月】
トト 【エジプト:神:月】
トファルドフスキ 【スラヴ:ポーランド:魔術師】
ヌディ・ムバ 【中国:ミャオ民族:月を射落とす物語】
ハティ 【北欧神話:狼:月食】
ボウワ 【インドネシア:女神:太陽,月の娘】
マヒナ 【ハワイ:月神】
ママキーヤ 【インカ:月の女神】
マン・イン・ザ・ムーン(月の男) 【ヨーロッパ:月の模様】
聖ゲオルギウス 【キリスト教:聖人、英雄:竜退治】
ムーンストラック 【ヨーロッパ:月、狂気】
メーネス 【バルト:神:月】
ヤシ 【南アメリカ先住民族:パラグアイ:女神】
ユア 【イヌイット:ユッピック民族:精霊】
ルナ 【ローマ:月の女神】
  
射落とされた太陽と月 【中国:ミャオ民族:物語】
太陽と月の起源 【シベリア:ケト民族:物語】

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