あとがき <<制作者のぶっちゃけトーク特盛スペシャル。>>
◆はじめに
『ココロ、そらいろ。』ゲーム本編のネタバレを含んだあとがきとなっております。
作品を読み終わった上での閲覧を強く推奨いたします。
【目次】
●『ココロ、そらいろ。』関連
・全体に関して
・登場キャラクターに関して
・『モラトリアム -boys men-』との関係について
●他作品、サークル関連
・今後の制作のこと
・今までを振り返って
◆『ココロ、そらいろ。』関連
【全体に関して】
●ごあいさつ
まずはこの作品を手にとってくださり、ありがとうございます。制作者のありっちょと申します。
『ココロ、そらいろ。』(以下、『ココそら』)は、mint wings作品12作目のノベルです。
構想としては2年ほど前からあったのですが、なかなか形にできずここまできてしまいました。
まあ、紆余曲折ありまして。とりあえず形に出来てよかったと思うばかりです。
●作品のテーマ
さて、今作のジャンルは「幼い少年少女のハートウォーミングノベル」です。なんじゃそりゃという感じですね。
ハートウォーム…、したでしょうか…? いや、私は「ハートウォーム」という言葉の意味も分からず使っていますが。
そんなことよりも、私が言いたいことはただ1つ。「“幼い”少年少女っていいよね!」ということです。
もうそろそろバレているのでしょうか。そうです、私は“幼い”少年少女が大好きなのです。
今、ぽかんとされた方。大丈夫です、それが当然の反応です。
私は「(キャラクター)>>(ストーリー)」という考えのもと、いつも作品を制作しています。
正直のところ、ストーリーなんてどうだっていいのです。私は“キャラクターを動かしたい”のです。
「ストーリーがなってない」「文章力が無い」とよく評価されますが、いいのです。
私は“キャラクターを動かしたい”だけなんですから。今回の作品もそうです。
「アイデンティティー、人間関係、自意識…、思春期特有の葛藤をもった子供達を描きたい」
それが最大のテーマです。至って単純明快。分かりやすいですね。
ですから、ストーリーどうこうよりも、「雰囲気を感じ取ってほしい」といったノベルとなっております。
この作品で伝えたい、制作者からのメッセージなどはありません。
「何も伝わらなかった!」「何言いたいのか分からない!」…それでいいんです、当たり前です。
mint wings作品全体に言えることですが、ストーリー構成なんてよく考えないで制作しています。
起承転結…? なんのことでしょうか? そんな難しい言葉、私には一切分かりません。
キャラクターを動かしたいように動かす。だから、綺麗な構成なんて考えなくてもいいのではないか。
今作はオムニバス形式の作品ですから、特にその考えがあらわれたと思います。
展開なんて気にせず、私がやりたいシーンを詰め込んだ“だけ”のノベルとなりました。
毎度のことながら人を選ぶ作品だと思います。つまらない方には、とことんつまらないでしょう。
よく私が使う言葉があります。「何か少しでも心に残りましたなら幸いです」という言葉です。
この作品を読んで、あなたはどう感じましたか?
もしも、なにか心に残ったのならば…、それはすごいことです。そして、こちらとしては嬉しいことです。
繰り返しますが、“キャラクターを動かしたい”という勝手な考えのもと制作しているのですから。
私の作品をどのように受け取るかは、プレイヤーの皆さまの自由です。明確に「これ」というものはありません。
●補足・カットしたストーリー
カットしたストーリーについて少し語らせてください。
『ココそら』は当初よりもずっと短編ストーリーとなりました。
3人が不器用ながらも仲良くなっていく様子をゆっくりと描きたかったのですが、ばっさりカットしてあります。
夏休みの話、いつきともとなりがケンカをする話、ゆずが初潮を迎える話、あおき先生が入院する話…。
色々とありましたが、思い切ってカットしました。ここはカットできないというシーンだけが残っています。
語られなかった日々にも、いろんな出来事があったということだけ言わせてください。あとはご想像にお任せします。
【登場キャラクターに関して】
●いつき
物語全体の主人公。「不登校児という以外はごくごく普通の男の子」ということで、他と比べると大分無個性です。
平均的になんでもこなし、致命的な欠点が見当たらない。そんな“普通”の少年。
彼が不登校になった理由は無意識なものでした。…と、一応フォローさせてください。
今までは広くも薄い交友関係を築いていたことと思われます。誰からも好かれるように接していました。
けれども、ゆずやもとなりに出会って、なにか得るものがあったのではないでしょうか。
これからは、今までとは違う人間関係を築いていくことでしょう。人との接し方も変わると思います。
そして、いつの日かきっと気付くはずです。自分にも長所があるということに。
●ゆず
お友達と仲良くする方法で悩む子です。次項で語りますが、過去作と繋がりがあるキャラクターでもあります。
人に合わせるのが苦手で、友達から仲間外れにされてしまう…。女の子らしい問題ではないでしょうか。
出る杭は打たれる。周囲からちょっとでも浮いていると、面白くないと思われる。
しかし、彼女の場合の仲間外れは、「好きだからこそ」の仲間外れではないかと感じます。
「好きだからいっしょがいい」「いっしょじゃなきゃ寂しい」そんな感情が発端な気がします。
誰かと仲良く、ということは難しいことです。ゆずも、きっと色々と悩んだことでしょう。
少しずつ彼女も、その方法を身につけて心から笑いあえる「友達」に囲まれることと祈っています。
●もとなり
クラスに馴染めず、不登校児になってしまった男の子。「笑えない」、というより「笑わない」タイプ。
理由はほんの些細なものかもしれませんが、それで悩むのもこのお年頃ならではかと思います。
「人にどう思われているか気にする」というのは、他の2人よりも精神年齢が上な証拠かもしれません。
大人っぽい話し方や考え方をするので、冷たく見られがちですが面倒見のいい子です。
きっといつき達は、物語序盤からそのことに気付いていたと思います。
「他人は自分を映す鏡」とよく言いますが、お互いの好意が彼を変えたのではないかと。
今は不器用な微笑み方かもしれません。しかし、少しずつ変わっていけるはずです。
●あおき先生
いつもやさしく、あたたかい目で生徒達を見守る若き養護教諭。生徒からも教師からも人望ある先生です。
基本的には放任主義であり、生徒自身が問題を解決できるようにしています。あまり口出ししません。
他の3人をメインとすると、サブキャラのような扱い。ですが、彼女視点も描きたくてつい描いてしまいました。
子供達の前では表に出しませんが、根のところはまだまだ子供なのかもしれませんね。
ちなみに、エピローグのシーンは×年後のあおき先生視点です。無事、明弘さんと結婚しました。
【『モラトリアム -boys men-』との関係について】
●先行情報
当初は本編で発覚するという形で、紹介サイトでもヒントになるような情報を公開しない予定でした。
しかし、今作は『モラトリアム -boys men-(以下『モラトリアム』)』を読んでくださった方にぜひと思い、
『モラトリアム』との繋がりをほのめかす情報を公開することにしました。
●そもそも『モラトリアム』とは
「いきなりなんぞや?」という方もいらっしゃるかもしれませんね。
mint wingsの処女作(http://mintwings.web.fc2.com/m01/)です。今年で5年前になってしまうのですね。
(『ココそら』は一般向けですが、こちらはBL作品ですので苦手な方はご注意)
今作は『モラトリアム』の1つの未来の形。翔がそれぞれの問題を解決しつつも、誰とも結ばれなかった世界です。
あれから悠斗はある女性と結ばれました。そして生まれたきたのが、ゆず。あとは本編にある通りです。
●感謝の気持ちを込めて
制作者として「好きな作品は」「好きなキャラクターは」と言うのはどうかと思いますが、処女作は印象強いものです。
今思えば恥ずかしくて仕方ない作品ですが、それでもたくさんのご感想をいただいた作品です。
始めに『ココそら』の構想は前からあったと言いました。…実はお蔵入りにする予定もあったんです。
しかし、「次の作品で一区切りつける」となった時、どうしてもこの処女作と繋がりのある作品を作りたくなりました。
なかには、mint wings最初の作品からずっとプレイをしている、という希少な方がいます。
こう言っては何ですが、今回の作品はそういった少数の方々へ向けた作品でもあるのです。
私も『モラトリアム』を制作した当時の気持ちで、この作品を制作しました。
今まで支えてくださった方々へ、少しでもこの感謝の気持ちが伝わりますよう。
◆他作品、サークル関連
【今後の制作のこと】
●活動休止とその理由
「一区切り」という言葉が出てきましたが、今回の作品をもちましてmint wingsは活動を休止させていただきます。
というのも、個人制作に限界を感じてきたからです。
ゲーム制作をしている方ならご理解いただけるでしょうが、個人で一から十やるって相当なことです。
以前は時間がうんとあったから良いものの、去年の4月から私生活ががらりと変わりまして。
正直なところ、ゲーム制作に時間をあてることが困難になってきました。
その為、活動を休止させていただきたいと思います。次回作はありません。
●休止中とは言っても
そんな事は言っても、ですよ。今まで積み重ねてきたものを、簡単に終わらせたくないという思いもありまして…。
エイプリルフール等のミニゲームは、できれば今後も続けていきたいと思っております。
どうなることやら分かりませんが、サイト消滅ということはありませんのでご安心を。
…ただ、やっぱりこれまでのような作品は出せないと思います。出しても、合作だとか掌編といったものかと。
【今までを振り返って】
●ゲーム制作に至るまで
もともと、ゲーム制作しようと思ったのは、某BLゲーム制作サイト様に憧れてでした。
既に閉鎖されてしまいましたが…、あまりツッこむとアレな話題な気がしますね。やめておきましょう。
とにもかくにも「BLゲームをつくりたい」というのがありました。それも、“幼い男の子”が出てくるBLゲームを。
殆ど自己満足ですが、ほそぼそと、そういった類のものが好きな方にプレイしただければなあと…。
そして、出来あがったのが処女作である『モラトリアム』です。
●『RIDDLE -piece of memory-』に対する声
3作目の『RIDDLE -piece of memory-』は変わり種で、乙女ゲームです。
当初は乙女ゲームをつくる予定なんてありませんでした。きっかけはその前に制作した『語り部さんとおとぎ話』です。
彼女――、“女性キャラクター”を動かしたら、もっと動かしてみたいという考えが生まれました。
その考えから「リリィ」というキャラクターがうまれ、あの物語が形作られたのです。
(私の場合、ストーリーよりもキャラクターの方が先行して勝手に歩き出します)
あれは特に不評の声が多い作品(後にこれを越える作品が出ますが)でしたね。
それだけ多くの方がプレイしてくださったということで、こちらとしては驚きばかりなのですが…。
また、同時に好評の声も(私の中では)多い作品でもあります。
…まあ、もちろん、不評の声の方がずっと多いのですが、「一部の方にウケればいいや」という考えでやっているので、
公開して良かったと思える作品になりました。
●『ジサツ志願者同盟』事件
これはまぎれもなく事件です。5作目の『ジサツ志願者同盟』はやらかしましたね。
4作目、5作目…、とBLゲームが続きまして、いつものノリで制作していたのですが…、ですよ。
それなりに様々な方にプレイしていただいて…、しかも、そういった類が好きでない方にも…、プレイしていただいて。
そして、なんということでしょう、「BL作品」よりも「感動できる作品」として取り扱われてるではありませんか。
なかには「BLなんて知らなかった!」という声も。…おや、なんだかおかしいですね。
当初の「ほそぼそと、そういった類のものが好きな方にプレイしただければなあ」という考えに反してそのようなことが。
本当に、思ったよりも反響が多くて驚きました。それも不評の声が大多数。こりゃ大変だと。
「感動」できる作品を作りたかったわけじゃないんです、あくまでも「友情以上恋人未満なBL」が目的だったのです。
「あまり自分は愛されていない」と考えている幼い子供が、背徳的にそう誰かを求めたりだとか。そういう。
人を選ぶ作品しかつくらないので、あまり大衆の目に晒されたくはなかったのですが…、今でも少し残念だななんて。
よく「またBL作品を」というリクエストをいただきます。
何と言いますか…、制作しなくなったのはこのような背景があったからです。
リクエストになかなか答えられずごめんなさい。
●「語り部さん」というキャラクター
『語り部さんとおとぎ話』と、続編『語り部さんとおとぎ話 -The second act-』は、童話モチーフの一般ノベルです。
ありがたくも続編の声を多く頂いた作品でして、長らく時間がかかってしまいましたが続編公開まで至りました。
「語り部さん」というキャラクターは、実は前々からつくっていたキャラクターです。裏設定もあります。
…が、公開できずに時間ばかりが経ってしまいました。今思えば、それが少し心残りです。
彼女が自分のことを「キャラクター」だと主張するところに色々あって、その過去には…、と色々練っておりました。
本当の名前は「白雪 綴(しらゆき つづる)」と言います。せっかくなので、この場を借りてはっきりさせておきます。
◆おわりに
やたらと長くてごめんなさい。
自分でも驚きです。…いや、これ本当に。これで最後かと思ったら、つい長々と語ってしまいました。
改めまして、当作品を手にとってくださりありがとうございます。
今までゲーム制作をして、様々なことがありました。嬉しいこともあれば、つらいこともありました。
ここまで活動を続けられたのは、純粋に皆様のおかげです。心から感謝しております。
またいつか、ふと思い出した時に当サークルの作品をプレイしてくださると嬉しいです。
2015/04/09 mint wings ありっちょ