【 無学大士は日蓮仏法の完成者 】
  日蓮聖人は妙法蓮華経従地涌出品第十五番中の上首唱導の師のうち、御自
分は上行菩薩であることを自覚され、「その時日蓮は即ち不軽菩薩たるべし」
と御遺訓された通り、無学大士として再誕されたのです。
  不軽菩薩というのは、妙法蓮華経常不軽菩薩品第二十に登場する常不軽菩
薩のことで、人間を礼拝して仏になったという、釈尊の過去世のことです。
  この不軽菩薩の行が無学大士の先祖供養道=人間礼拝行に当たります。
先祖は無量無辺なので、無辺行菩薩、無量義経に通じます。上首唱導の師(上
行、無辺行、淨行、安立行の四菩薩)のうち、無辺行菩薩が無学大士である所
以です。  
  南無妙法蓮華経は「自分によって自分が救われる。主体は自分である」と
いう意味ですから(『諸法實相鈔』には、「凡夫は體の三身にして本佛ぞか
し」とあり、本仏は各自、自分…主体は自分であることを明かしています)、
人間礼拝行につながります。それゆえ無学大士は日蓮仏法をしめくくる方と
言えます。
  法華経(三部十巻三十二品)上の受持ちから見ますと、日蓮聖人は妙法蓮華
経(一部八巻二十八品)を受持ち、無学大士は無量義経(一部一巻三品)を受持
ち、そして、台学大士(浄行菩薩)が仏説観普賢菩薩行法経(一部一巻一品)を
受持たれたのです。因みに安立行菩薩とは南無先祖養道を行じていくこ
れからの人類を言います。これで、無学大士の法華経上の位置とお役目がは
っきりしたと思います。
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