【 貧乏の中で天授開顕 】
艱難辛苦の中で天授開顕…
恩師は川崎を中心に信仰活動してこられましたが、戦時中、川崎に空襲が
あった時、消防署も焼けて一面焼け野原になったけれど、法座所は残ったと
か、空襲のある夜など、恩師が町中を「おくじ」を切って歩くと、爆撃機が
方向転換して飛び去ってしまうので、先生の声が聞こえると、安心して眠れ
たとかいう話を思い出します。
R会退会後はその川崎で『コ行会』を設立します。この『コ行会』の名前
は無量義経コ行品第一から来ています。
その後、宗教法人浄妙教団に改称します。この教団名は法華経の経文から
いただいたものと聞いています。(「浄妙」という文字は、妙法蓮華経譬諭
品第三と仏説観普賢菩薩行法経にあります。)
「浄妙」の意味は、「浄」とは洗い清める、「妙」とは蘇生、生まれ変わ
るで、この大荘厳懺悔道によって自分の悪業障の因縁が浄化して、自分を不
幸にするはずのものが、逆に幸せを作っていくようになる、ということです。
自分自身の改革です。
教団の名称は将来、『宝號誦持会教団』と改めると良いと恩師から言われ
ています。『浄妙』では未だ具体性に欠けるためです。『宝號誦持』という
と、宝號(南無先祖
養道)を持っている教団であるということと、宝號
を誦持(じゅじ…そらんじてたもつこと)することが、私達同信一同の役目
であることがはっきりするからです。宗教は生活そのものであり、生活はい
つでも具体的だからです。当然、宗教は学問ではありません。
恩師は貧乏と病気という厳しい生活環境の中で、真実を求めて宗教活動さ
れ、とうとう大御本尊様(大御宝體様…南無先祖
養道)を天授開顕され
るという大偉業を成し遂げられたのです。昭和三十年です。わが生命の真の
あり方の図も霊感により賜ったものということです。
恩師は御法座で、その当時の貧乏生活についてよくお話しして下さいまし
た。大麦のヌカを四日も五日も食べて暮らしてきたとか、上下の衣服もつぎ
はぎだらけのを着ていたとかです。このぼろぼろになったつぎはぎだらけの
衣服は今でも記念のため、本営に保管してあります。
恩師はこの貧乏と病気を乗り越え、ご自分の人生の上で、先祖
養道の
正しさ、この法の時に適えるを実証された実説者であられます。
九十九里に本営ができてからも、厳しい財政運営だったようですが、当時、
高校生ぐらいだった私は、月一回程度本営で宿泊修行させていただきました
が、恩師が配慮して下さったためかそう感じたことはありませんでした。
教団財政の厳しい状態は、教団長老の故稲垣喜久女史(ご命日S54,12,10)
による、我が教団にとっては多額の寄付を受けるまで続きます。(故稲垣喜久
女史は、浄妙教団にとって最大の功労者です。この信仰をするものは決して
忘れてはなりません。)
☆ 天授開顕とは…使命を持ってお生まれになった方が修行と功コを積むこ
とによって、仏世界からの啓示を受けることで、人智で考え出したものでは
ありません。
恩師の始唱導による大御宝號(南無先祖
養道)は、法然の南無阿弥陀
仏、日蓮聖人の南無妙法蓮華経と並ぶものですが、『釈尊より偉大な日蓮』
という筆法をもってすれば、恩師がいなければ仏法の予言は成就しませんか
ら、恩師の御業績は大変偉大なことなのです。恩師が浄行如来といわれる所
以です。
☆ おくじ(お九字)を切るとは…例えば病気の原因が、悪鬼とか悪霊の
しわざとか魔物の所為の場合、または来るべき災難が自分の因縁による場合、
それを一時退散させることをいいます。
具体的には大乗方等経典要結品(浄妙教団の朝夕のお勤めのお経巻)の
仏説観普賢菩薩行法経を一巻あげ、妙法蓮華経提婆達多品第十二を二〜三回
あげます。そして要結品の誓願文に入り、『南無 眞淨大法 先祖
養
歡喜奉行 我身如来 常不軽大菩薩』と力を込めて繰り返しているうちに、
自然と力が漲ってきて、「イエッ、イエッ、イエッ、イエッ」と口をついて
出てきます。『我於今日 発菩提心……』の方がお九字が出やすい場合もあ
ります。これを力の限り繰り返して、最後は御宝號を誦唱します。
時間がない場合は歸依文、懴悔勸請文をあげて、行法経の十八ページ『時
に諸の菩薩、異口同音に…』から始め、『身とは殺・盗・婬、心とは……佛
を觀じたてまつるべし。』までを三回繰り返してから、誓願文に入っても良
いのです。なお誓願文は陀羅尼文(修行者を守護する力のある経文)になっ
ています。
恩師は川崎で活動なさっていた頃、夜中の十二時か一時になると信者から
きまって「主人が痔で苦しんでいる」と電話がかかってくるので、自転車に
乗ってでかけ、そのたびにお九字を切って痛みを止めたということです。
私は旅行中に家族が腹痛を起こしたので、前記のようにお経をあげ、実地
体験は初めてだったのですが、お九字を切って痛みを止めた経験があります。
しかし、お九字はあくまでも一時しのぎに過ぎません。腹痛程度なら一回
で治りますが、もっと因縁の深い場合は、やはり摂折による功コを積むしか
方法はありません。(場合によっては、医師の診察を受ける必要もあります。)
☆『大乗方等経典要結品』というのは、常不軽台学国明先生編輯、浄妙教
団発行の日々に読誦するお経巻のことです。
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