【 法華経の構成 】
  仏教の経典の一つに父母恩重経というのがあります。この経典は、お釈迦
様の時代に説かれたものであるにもかかわらず、その内容は現代の世相にそ
っくりです。まるで現代を予言して説かれた感じがします。
  しかし、最深の経典といわれている法華経には、もっと驚くべき予言が書
かれているのです。それは妙法蓮華経從地涌出品第十五に説かれている四菩
薩(上行、無辺行、浄行、安立行の各菩薩)のことです。
  ここで法華経というのは、どういう経典であるのかを簡単に説明します。
法華経というのは、仏教のたくさんの経典のうち、一番最後に説かれたもの
で、学校教育にたとえれば、大学時の教育に相当します。つまり仏教の結論
に当たるわけです。
  そしてその法華経は、一般には妙法蓮華経のことと思われているようです
が、妙法蓮華経を略して法華経というのではありません。妙法蓮華経は法華
経の一部分です。
  
 ★ 法華経(三部十巻三十二品)の構成と四菩薩の法華経上の受け持ち
は次のようになります。(四菩薩が生々発展する仏法にそって、一つにつなが
っている事がわかります。)
                         
 ┌妙法蓮華経(一部八巻二十八品)…上行菩薩…末法初時…日蓮聖人のお受持ち。
 │                 
 │                             ↓                   ↓
 ├無量義経(一部一巻三品)…無辺行菩薩…末法中時…常不軽無学大士のお受持ち。
 │               
 │                             ↓                   ↓
 └仏説観普賢菩薩行法経…  浄行菩薩 …末法本時…常不軽台学国明大士のお受持ち。
            (一部一巻一品)   
                     ↓
                    安立行菩薩(末法本時の人類)
         
  ☆ 仏法とは生々発展の名である。(録学大士)
       
  妙法蓮華経だけでは八巻二十八品ですから、月足らずで不完全、未完成で
あることが分かります。また、妙法蓮華経の肝心要の経文は、如来壽量品第
十六ですが、この経文の末文は「何を以てか衆生をして無上道に入り  速か
に佛身を成就することを得せしめんと」と疑問符で終わっており、結論が出
ていないことを示しています。つまり、妙法蓮華経の肝心要の経文に結論が
ないのですから、妙法蓮華経は法華経の結論ではないことが分かります。
  また、日蓮聖人御遺文の『釈迦一代五時継図』には、天台大師の『法華文
句』から引用して「普賢観は法華を結成す」(仏説観普賢菩薩行法経がなけ
れば法華経は実を結ばない)とありますので、仏説観普賢菩薩行法経(以下、
行法経)が結論になり、仏教全体から見れば、この行法経が釈尊の最終結論
ということになります。(無量義経は法華経中の序論にあたります。)
  
  行法経が結論であることは、その経文の冒頭に、
  「……。時に三大士、異口同音にして佛に白して言さく、世尊、如来の
滅後に云何してか衆生、菩薩の心を起し、大乗方等経典を修行し、正念
に一實の境界を思惟せん。云何してか無上菩提の心を失わざらん。云何
してか復當に煩悩を断ぜず五欲を離れずして、諸根を浄め諸罪を滅除
することを得、父母所生の清浄の常の眼、五欲を断ぜずして而も能く諸
の障外の事を見ることを得べき。…」とあることからもわかります。
  これは釈尊が三ヶ月後に亡くなるということを聞かされて、阿難を初め
として弥勒、摩訶迦葉の三大士が、今まで聞こうとして聞けなかった人間
として一番大事な問題(人間のままで幸せになるにはどうしたらよいでし
ょうか?)を、釈尊に質問するところからこの経文は始まります。そして、
その答えが説かれているのです。
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