Frequency
Response Analyzer for HT6004BX ユーザー マニュアル
2019/6/22 Euphorie
<対応OS>
l Windows 8.1 32bit
l Windows 8.1 64bit (*)
l Windows 10 32bit
l Windows 10 64bit (*)
(*) が実際に動作確認をした環境です。
<CPU>
1 GHz以上。OSが快適に動作していれば問題ありません。
<メモリ>
1 GB以上奨励(32bit)。2 GB以上奨励(64bit)。
<ハードディスク>
本ソフトウェアは10 MB程度消費します。OSが快適に動作していれば問題ありません。
1) 圧縮ファイル「HT6004BX_FRA_rev△△△△△△.zip」を適当なフォルダに展開してください。「HT6004BX_FRA.exe」を実行することで,本ソフトウェアを起動することができます。
※注△△△△△△はビルド日時を表す数値が書かれています。
Hantek製USBオシロスコープ6254BDを用いて周波数応答解析を行うためのソフトウェアです。DDS(ダイレクトデジタルシンセサイザ)から励振信号を発生し,CH1をリファレンスとして,CH1 からCH2, CH3, CH4 への伝達特性を測定し,ボード線図をプロットします。各チャンネルの振幅と位相の解析は,ソフトウェアでロックインアンプ処理をすることで,精度よく解析されます。解析周波数は最大25MHzです。
本章では本ソフトウェアの使用方法について記載します。
以下に本ソフトウェアのウィンドウを示します。
図4.1 本ソフトウェアのウィンドウ
A. メニューバー … メニューです。
B. オシロスコープビュー … オシロスコープの画面です。波形形状の確認に使用します。
C. ボード線図 … 周波数応答特性の解析結果をプロットします。
D. テーブル … 各周波数における測定条件と測定結果を表示します。
E. ステータスバー … 現在のオシロスコープの設定を表示します。
メニューバーの各メニューの説明について記載する。
1) スイープ設定の読み込み(Load Sweep Settings)
CSVファイルから測定条件および測定結果を読み込み,テーブルに反映します。
2) スイープ設定の保存(Save Sweep Settings)
テーブルの測定条件および測定結果をCSVファイルに保存します。
3) 波形の保存(Save Waveform)
現在,オシロスコープビューに表示されている波形をCSVファイルに保存します。
1) オシロスコープの設定(Set Oscilloscope Parameters)
オシロスコープの水平分解能,垂直分解能,トリガの設定をします。ただし,周波数応答特性を測定する場合は,テーブルの条件が優先して使用されます。
図4.2 オシロスコープの設定
2) DDSの設定(Set DDS Parameters)
DDS(ダイレクトデジタルシンセサイザ)の設定をします。ただし,周波数応答特性を測定する場合は,テーブルの条件が優先して使用されます。
図4.3 DDSの設定
3) DDSの出力のON/OFF(DDS ON/OFF)
DDS(ダイレクトデジタルシンセサイザ)の出力のON/OFFを切り替えます。
1) スイープ開始(Start Sweep)
周波数特性の測定を開始します。DDSをONにし,テーブルの設定条件を逐次実行することで,周波数を掃引(スイープ)します。スイープ中は,ボード線図中に測定している周波数を示す赤い線が表示されます。
2) スイープ中断(Abort Sweep)
周波数特性の測定を中断します。
3) スイープ点数の設定(Set Sweep Points)
測定点数を変更します。なお,点数を増やした場合は,テーブルの最終行の条件がコピーされます。
4) 平均回数の設定(Setup Average)
各点の測定の平均回数を設定します。テーブルのすべての行に対して,一括で設定されます。
5) 周波数スイープの設定(Setup Frequency)
周波数の掃引(スイープ)の設定をします。開始周波数(Start Frequency)と終了周波数(Stop Frequency)を入力することで,テーブルのDDS周波数(DDS Freq.),水平分解能(Time/DIV)のデータを自動的に入力します。ログスケール(Log Scale)にチェックを入れると,周波数をログプロットしたときに測定データが等間隔になるように周波数が決定されます。周波数最適化(Optimize Frequency)にチェックを入れると,オシロスコープで取得する波形の1周期のサンプル点数が整数値になるようにDDSの出力周波数を微調整し,ソフトウェアロックインアンプの精度が得られるようにします。通常は,周波数最適化のチェックを入れてください。
図4.4 周波数スイープの設定
6) 振幅の設定(Setup Amplitude)
DDSの出力振幅を設定します。テーブルのすべての行に対して,一括で設定されます。
7) オフセットの設定(Setup Offset)
DDSのオフセット電圧を設定します。テーブルのすべての行に対して,一括で設定されます。
8) 垂直分解能の設定(Setup Volt/DIV)
オシロスコープの垂直分解能を設定します。テーブルのすべての行に対して,一括で設定されます。
9) 垂直分解能の最適化(Optimize Volt/DIV)
オシロスコープの垂直分解能を最適化します。周波数特性を1度測定した後に実行してください。測定する信号が減衰した場合に,垂直分解能が大きいままだと測定精度が落ちますが,垂直分解能の最適化を実行することによって,測定した信号振幅をもとに垂直分解能を調整することができます。この後,再び周波数特性を測定することで,高精度な結果を得ることができます。
なお,垂直分解能の最適化を実行すると,DDSの出力を50Ω終端しているかどうかについて質問されます。オシロスコープのCH1はリファレンスチャンネルとしてDDS出力を接続することを前提としますが,50Ω終端をしている場合は,分圧の影響を考慮して,CH1の垂直分解能を決定します。
図4.5 DDS出力の50Ω終端有無の確認
1) CH1-2,CH1-3,CH1-4
ボード線図において,プロットするチャンネルを選択します。
2) ログスケール(Log Scale)
ボード線図の周波数軸について,ログプロットもしくはリニアプロットを切り替えます。
1) About…
本ソフトウェアのバージョン情報を表示します。
RCフィルタの周波数応答特性の測定例をチュートリアルとして記します。
RCフィルタの回路図を図4.6に示します。今回は,簡単のためブレッドボード上にRCフィルタを構成します。
図4.6 RCフィルタの評価回路
実際の結線を図4.7にします。
図4.7 RCフィルタの結線
1) [Sweep] > [Sweep Points]を実行し,測定点数を200に設定します。
図4.8 測定点数の設定
2) [Sweep] > [Setup Frequency]を実行し,以下のダイアログで測定周波数の範囲を10Hzから25000000Hz(25MHz)に設定します。
なお,テーブル上の[DDS Freq.]をダブルクリックすることで,ダイアログを表示することもできます。
図4.9 周波数範囲の設定
3) [Sweep] > [Setup Amplitude]を実行し,DDSの出力振幅を1000 mVに設定します。
なお,テーブル上の[DDS Ampl.]をダブルクリックすることで,ダイアログを表示することもできます。
図4.10 DDS出力振幅の設定
4) [Sweep] > [Setup Volt/DIV]を実行し,CH1とCH2の垂直分解能を1V/DIVに設定します。
なお,テーブル上の[Volt1/DIV]をダブルクリックすることで,ダイアログを表示することもできます。
図4.11 垂直分解能の設定
5) [View] > [CH1-3], [CH1-4]をクリックし,以下のようにボード線図のプロットの設定をします。
図4.12 ボード線図のプロット設定
6) [Sweep] > [Start Sweep]を実行し,周波数応答特性を測定します。測定が完了すると,以下のような結果となります。高周波部分で,CH2の振幅が小さくなり,正しく測定ができていません。
図4.13 RCフィルタの周波数応答測定結果(1回目)
7) [Sweep] > [Optimize Volt/DIV]を実行し,各周波数における垂直分解能の設定を最適化します。以下のダイアログが表示されますが,今回の測定では,DDS出力を50Ω終端していませんので,[いいえ]を選択します。
図4.14 50Ω終端の確認ダイアログ
8) [Sweep] > [Start Sweep]を実行し,再度,周波数応答特性を測定します。測定が完了すると,以下のような結果となります。測定中に自動的に適切に垂直分解能を切り替えることで,正しい測定結果が得られます。測定中のオシロスコープの波形を見ていると,いずれの周波数においても十分な振幅を確保できていることが分かります。
カットオフ周波数
設計では,330Ωの抵抗と0.1uFのコンデンサを使用しましたので,カットオフ周波数は4.8kHzです。実際の測定結果では,4328Hzにおいてゲインが-3.1dBとなり,誤差はありますが,所望の測定結果が得られたと言えます。
自己共振
およそ2.5MHzでゲインが下がった後,再び大きくなるV字の特性が見られます。これは,コンデンサの寄生インダクタンスによる自己共振の影響と推測されます。
図4.15 RCフィルタの周波数応答測定結果(2回目)
特別な手順は不要です。第2章で展開したフォルダを削除してください。