スリットメーカー

光の干渉が観察できるスリットを作成するためのソフトウェアです。
スリットが描かれた画像を作成しますので、それをOHPシートに印刷してご利用ください。

印刷にはレーザープリンタ(解像度600dpi以上)を推奨します。
インクジェットプリンタでも見えるかもしれませんが未確認です。


目次

  1. スリット画像の作成
  2. OHPシートへの印刷
  3. 干渉縞の観察
  4. 観察例
  5. 格子定数の計算

1.スリット画像の作成

まず、スリットメーカーを使ってスリット画像を作成します。

起動

「スリットメーカー.exe」という実行ファイルをダブルクリックすればスリットメーカーが起動します。
起動すると次のような画面が表示されます。

このスリットメーカーでは1枚のOHPシート内に15個のスリットが作成できるようになっていて、
それら作成するスリットを画面上部の15個のボタンがそれぞれ表しています。

解像度の設定

作成するスリット画像の解像度を画面下部の入力ボックスで指定します。
単位はdpi(dot per inch)で、1 inch(25.4 mm)あたりのドット数を表しています。

よくわからなければ初期値の1200dpiのままにしておいても構いませんが、
きれいなスリットを作るためには、この値をプリンタの解像度に合わせておくことが望ましいです。

プリンタの解像度はお持ちのプリンタのマニュアルをご覧ください。
いくつかの印刷モードがある場合は写真などの印刷のための高画質モードでの値を使うといいです。
(そしてスリット画像の印刷もそのモードで行ってください。)

各スリットの設定

作成するスリットを変更したい場合には対応するボタンを押してください。
次のような設定画面が表示されますので、そこでスリットの種類や線幅などを変更することができます。

その際、白線(光が透過する部分)や黒線(光を遮る部分)を太くし過ぎると干渉縞が狭くなって見えにくくなります。
また逆に、細くし過ぎても印刷時にスリットがつぶれたり、線がかすれたりして干渉縞がきれいには見えません。

目安としては、解像度1200dpiの場合ならば線幅はおおよそ3~6dotぐらいが一番最適のようです。
一般の解像度ではその目安は次のようになります。

なお、スリットの種類を変更すれば、線幅は自動的に推奨値にリセットされます。

タイルの設定

スリットの種類として「タイルパターン」を選択した場合、
スリットの設定後、スリットを埋め尽くすためのタイルを設定する画面が表示されます。

この画面において次のような操作でタイルを作成します。

 ・左クリック  …  そのマスを白に
 ・右クリック  …  そのマスを黒に
 ・Ctrlキーを押しながら左クリック  …  全マスを白に
 ・Ctrlキーを押しながら右クリック  …  全マスを黒に
 ・Tabキー  …  全マスを白黒反転
 ・カーソルキー  …  全マスをその方向に移動

ただし、タイルをあまり細かく書き込むと、
印刷時につぶれてしまったり、かすれてしまったりすることがあるので注意してください。
経験的には、解像度1200dpiの場合ならば、主要な部分における
白線の幅が4dotぐらい、黒線の幅が2dotぐらいになるように考えたほうがいいようです。

また、「保存」ボタンや「読込」ボタンで、
作成したタイルをビットマップファイルとして保存したり、読み込んだりすることができます。
実行ファイルと同じ場所にある「タイルサンプル」というフォルダに
サンプルをいくつか用意しておきましたので、それらを読み込んで参考にしてみてください。

他のソフトで作成したビットマップファイルをタイルとして読み込むこともできますが、
完全な白(RGB=255,255,255)のみを白として扱い、それ以外の色は黒として扱います。
また、画像の幅や高さが上限値よりも大きければ、その左上部分のみが使われます。

スリット画像の作成

以上の設定の後、画面下部の「作成」ボタンを押せばスリット画像が作成されます。
作成後、「開く」ボタンを押せばスリット画像をWindows付属の「ペイント」で開くので、
作成されたスリットを確認することができます。

なお、スリット画像は無圧縮のビットマップのため、
巨大なファイル(1200dpiで約100MB)になりますので注意してください。
なお、画面右下の「画像データ圧縮」にチェックを入れておくと、ファイルサイズを1/8にできますが、
その分、作成や印刷に時間がかかります。


2.OHPシートへの印刷

次に、A4サイズのOHPシートにスリット画像を印刷します。
このとき、拡大も縮小もせずにそのままの大きさで印刷してください。

例えば、「ペイント」から印刷する場合、
スリット画像を開き、メニューの「印刷」-「ページ設定」において

としてから印刷します。

また、印刷直前のダイアログでは、「詳細設定」ボタンで印刷の設定を行う必要があります。
具体的な設定はプリンタの機種によって異なりますが、次の点に留意してください。


3.干渉縞の観察

最後に、印刷されたスリットを通して、遠くにある豆電球などを見れば、干渉縞を観察することができます。
このとき、スリットを目に近づけると干渉縞が見やすいです。
もちろん、目に悪いので太陽光やレーザー光などの強い光は見ないようにしてください。

さらに、干渉縞を写真にとれば、肉眼ではとらえにくい少し暗い点や色が分かれている様子までよくわかります。
デジタルカメラで写真にとる場合は次のようにするとうまくできます。

  1. 豆電球を点灯させて、それから1mほど離れます。
  2. デジタルカメラのズームを最大(例えば×20)にします。
  3. スリットのない状態でデジタルカメラのシャッターを半押しして、豆電球にピントを合わせます(下図)。
    このとき、明るさ調整のため、豆電球本体ではなくソケット部分にピントを合わせたほうがいいようです。
  4. スリットをデジタルカメラのすぐ手前に入れて撮影します。

スリットがない状態

なお、通常の実験のように、スリットにレーザー光を通し、
離れたスクリーンに投影することでも干渉縞を観察できると思いますが、
プリンタの性能によっては余計なゴミが出てきれいに見えないことがあります。


4.観察例

単スリット

複スリット

回折格子

直交格子

同心四角形

同心円

網目模様

市松模様

タイルパターン(03四角窓)

タイルパターン(07織り目)


5.格子定数の計算

回折格子において、干渉縞の間隔を計算するのに必要な格子定数(スリットの間隔)は
次の式で計算することができます。


その他

使用条件、連絡先、最新版配布場所等は 「はじめにお読みください」 というファイルをご覧ください。