弾道計算ソフト2000 Classic
操作マニュアル


 諸条件タブ(旧・その他の条件タブ)
 諸条件タブの各フィールドの意味についてご説明いたします。

 

 
 弾の重量
弾頭の重量を入力する。弾頭の重量はエネルギー、TKOV、貫通力指標の計算に使用される。弾道を求める時にはBC値を使用するので重量は使用しない。
 
 弾の直径
弾頭の直径を入力する(銃口の径ではない)。弾頭の直径はTKOVの計算に使用される。弾道を求める上ではBC値を使用するので口径は使用しない。
 
 CANT角
銃を構えるときは、スコープと銃身が鉛直線上にあって構えることが前提になっているが、これが鉛直になっていない場合に、鉛直線とスコープの中心と銃身の中心を結ぶ線の作る角度をCANT(カント、キャント=傾き)角と呼ぶ。ここでのCANT角は標的に向かって左右に傾く角度を指定し、左に傾ける(反時計方向)をプラス、右に傾けた時をマイナスで指定する。時計にたとえれば12時の方向が0で、11時はプラス、1時はマイナスである。CANT角があるとどのようなことが起こるかというと、まず第一に、傾いた方に銃身の方向が外れる。そして第二に、スコープの鉛直方向の高さが見かけ上低くなり、スコープの水平方向の位置が見かけ上かたむいた方に移動する。結果として、スコープと銃身が鉛直になっているときに得られた弾道とは違ったものになる。まず、弾道計算ソフト2000 Classicでは、このフィールドに数値を指定すると、鉛直の状態での弾道を計算し、指定されてたゼロ距離での打ち出し角度を求め、正規の弾道を得る。ここで終了しないで、その後、銃を傾けた状態でもう一度、弾道を計算し表示する。したがって、CANT角を指定すると、指定したゼロ距離にならず、かつ、左右に弾道が外れた計算結果が得られる。詳しくは、このマニュアルの「CANT角について」を参照されたい。
 
 CANT角のままゼロイン
このチェックボックスをオンにすることで、最初から傾いた状態でゼロインした場合の弾道を計算する。状況としては、たとえばスコープを取り付けるときに、水平ではなく傾いてしまったまま取り付けたとする。スコープを覗いてレチクルを水平にするように構えて撃つと、ライフル自体は傾いてしまう。このような状態でゼロインした場合は、左右の着弾がズレを生じる。角度が付いているのでゼロ距離では左右の照準は0になるが、それ以外の距離ではゼロにならない。詳しくは、このマニュアルの「CANT角について」を参照されたい。このチェックボックスがオンの時は、弾道計算結果表示の「CANT角」のタグが「CANT角@zero」と表示される。
 
 縦照準傾斜角
スコープを取り付けるときに十分注意しなければならないのが、スコープの縦照準線の延長が銃身の中心点を通る様にすることである。間違って角度をつけて取り付けてしまった場合のシミュレーション計算を行うときに、この欄を使用する。この欄で角度を指定したとしても、スコープの照準線が斜めになるだけで弾道に影響はない。ここで指定した角度は照準図の見え方が変わるだけである。照準図のエレベーションとウインテージの調整がここで指定した角度になるので、スコープを間違って傾けて取り付けてしまった場合に、クリック数がどのように変化しているかを分析できる。詳しくは、このマニュアルの「CANT角について」を参照されたい。
 
 集弾幅
一般的にグルーピングと呼ばれる。一定の距離で標的を撃った場合に着弾した弾は、銃の精度によって同じ所には当たらないでばらつく。そのばらつきの中で最も広い距離の2点の着弾点の距離を入力する。また、腕前でどの程度ばらつくのかを入力することによって、自分の有効射程を 評価することが出来る。
この幅を指定すると分析図において青線カーソルを表示する様になる。このカーソルの縦の長さが、ここで指定した集弾幅になり、距離に応じて集弾幅は変化し(遠ければばらつきが大きくなる)、分析図のカーソルは各距離に応じた縦幅を表示する。
照準図においては青丸で着弾点の広がりを表示する。
単位として、MOAを用いた場合は、集弾測定距離の値は無視される。また1MOAは、100yardで1inchではなく、角度1分であるので約1.05inchである。MILを選択した場合は距離1000mで1mの角度である。IPHYを指定すると、100yardで1inchになる。Inch Per Hundred Yardsの略である。
 
 集弾測定距離
集弾幅を計ったときの銃口から標的までの距離を入力する。集弾幅に角度を指定したときは、無視される。
 
 Kill Energy
獲物に到達したときの弾道のエネルギーで、殺傷に必要とされる値を入力する。通常は1000ft・lbf(=1355.817Nm)である。このフィールドで指定された値は、分析図の赤線・青線カーソルの横長比に使用される。赤線カーソルの縦の長さは獲物のバイタルゾーンを示し、横の長さはこの値に比例した値を表示する。青線カーソルの横線はその時の弾頭のエネルギーを計算し、この値の比を長さで反映する。したがって、青線の横の長さが赤線の横の長さより長いときは、弾頭のエネルギーがkill Energyを上回っている事を示し、逆の場合は下回っている = エネルギー不足ということを示す。しかし、1000ft・lbfという数値もいい加減であって、本来当たり所がよければ倒れるし当たり所が悪ければどんな凄いマグナムでも倒れない。実猟に際してみて、改めて経験的に分かった上で、この数値をどう役立てるかを検討していただきたい。
 
 「基準弾の相対値で表示」のチェックボックス
チェックすると、下記の重量、直径、速度で計算した基準値の相対比で、求める弾頭のエネルギー、TKOVを表示する。絶対値では20と言われてもよく分からないが、30-06の銃口の威力の何倍という認識ならある程度推定できよう。上図のデータは30-06の銃口付近の値であるが、30-06の何倍、何分の一かを知りたいときに指定する。他の使い方としては、今まで使用していたスラグの値を入れておき、新しく使おうとしているスラグを評価するなどの場合、今までと何倍ぐらいのエネルギーか、あるいは何倍ぐらいのTKOVかを評価できる。これまでの猟果と比較するときに有効である。また、現在弾道を求めている弾の銃口での値を入れる事によってそれぞれの距離でどのくらいの割合が減衰していくかの比がわかる。
 
 「基準弾頭パラメータ」ボタン
このボタンを押すことによって、基準となる弾頭をディフォルトの30-06から変更することが出来る。データは弾頭の重量、弾の直径、弾の速度である。 
 

 
 弾の重量
基準弾頭の重量を入力する。
 
 弾の直径
基準弾頭の直径を入力する(銃口の径ではない)。
 
 弾の速度
基準弾頭の弾速を入力する。
 
 取消ボタン
入力した値を取り消してこの画面を閉じる。
 
 設定ボタン
入力した値で新たに基準弾頭を設定する。
 
 
 横照準 offset
スコープ又はアイアンサイトなどの照準器の横方向の銃身の中心点からの距離。本来なら銃身の中心の真上に設置されるべきであるが、右利きで左目で見るために横に張り出したり、構えやすさのために若干ずらしたりする事もある。また、意図せず取り付けの不具合でずれが生じてしまった場合や、銃身が曲がっていたなど、いろいろな要因で左右があわないことがあり、これらを見かけ上の弾道の食い違いとして処理するためのパラメータである。詳しくは「縦横 照準 offsetとは」を参照。尚、このパラメータは、CANT角が設定されていた場合は、CANT角と共に傾いて計算される。また、「CANT角のままゼロイン」チェックボックスがオンの場合も同様で、照準器に対して横であり、指定された角度だけ傾いて計算される。さらに、この状態で「状況の変化」タブのCANT角がかけられた場合は、その角度と共に傾いて計算される。
 
 縦照準 offset
スコープ又はアイアンサイトなどの照準器の縦方向の銃身の中心点からの距離。「スコープの高さ」と全く同じ成分で、スコープの高さに加算して計算される。スコープの高さは実測値であって、このオフセットは、銃身が曲がっていたり、マズルブレーキの作用で弾道が銃身の方向からそれてしまった場合など、見かけ上の弾道の食い違いとして処理するためのパラメータである。詳しくは「縦横 照準 offsetとは」を参照。尚、このパラメータは、CANT角が設定されていた場合は、CANT角と共に傾いて計算される。また、「CANT角のままゼロイン」チェックボックスがオンの場合も同様に、照準器に対して縦であり、指定された角度傾いて計算される。さらに、この状態で「状況の変化」タブのCANT角がかけられた場合は、その角度と共に傾いて計算される。
 
 計算ボタン
縦横照準オフセットはユーザが決定してもよいが、現在入力されている情報を元に弾道計算してそのデータから逆算して自動で概算値を求める事も出来る。したがって、メインコントロールパネルの入力値は全て完結しておく必要がある。詳しくは「縦横 照準 offsetとは」を参照。
このボタンを押すと、ゼロインなど基準となる着弾点のデータと、それ以外の着弾点のデータ、併せて2点の着弾データを入力して、現在メインコントロールパネルで入力してある弾のBCや初速、ゼロ距離、等々のデータを元に、その弾道から外れた差分を計算して概算でオフセット値を割り出す。オフセット値は合わせ込み計算と同様に2分検索法による繰り返し計算で求めるが、100回計算して適正な値が求まらない場合は、エラーを呈して終了する。その場合は、初速、ゼロ距離、弾のBC値などを、適正な範囲で変更し、実際に近い弾道にしてから、再計算する事で求まる場合もある。
ボタンを押すと、下記の入力画面が出るので、基準となる第一着弾点(ゼロ距離など)と、本来の弾道からそれたと思われる第二着弾点のデータを入力する。
たとえば、ゼロインしようとして射撃場で10発撃った場合、その着弾点の中心点(重心)が100mにおいて、上に5cm、左に3cmだったとする。クリック調整しないで200mに標的をおいて撃った着弾点を得たとする。この場合、ゼロイン距離が解らない。しかし計算で求める事が出来る。「合わせ込み」タブにおいて弾の速度、BCを入力して、ゼロ距離による合わせ込みを行うと、ゼロ距離が解る。そのゼロ距離を「弾道計算」タブのゼロ距離に入力し直し、この第一着弾点には、実射したデータをそのまま入力する。着弾距離100m、横方向-3cm、縦方向5cmである。第二着弾点のデータは、ライフルの照準を動かさないで撃ったデータが必要になるので、200mのデータをそのまま入力すれば良い。
計算は、入力された第一着弾点が現在入力されている弾道上の点であったと仮定して、その照準値を基準に第二着弾点の相対位置を得て、これを元に計算を行う。正しい差分が必要になるので第一着弾点を撃ったあと、クリック補正してしまってから第二着弾点を撃った場合は、ご自分で調整したクリック分を差し引いて、ライフルの照準をクリックを変更しないで撃ったデータに加工して、第二着弾点のデータを入力しなければならない。
 
 
 
 第一着弾点距離
ゼロ距離において正確にゼロインしている場合はゼロ距離を入力する。ゼロ距離でゼロインしていない場合は、基準となる着弾点データの飛行距離、つまり発射位置から着弾位置までの距離を入力する。
計算は、第一着弾点を新しい基準にして、その点を通る弾道上から第二着弾点の相対位置を求め、それを元にオフセットを計算する。
第一着弾点を通ってゼロ距離で照準が合うようにクリック補正してから弾道計算し結果を表示する。 クリック補正値は結果の表示の時に示される。
 
 第一横方向値
第一着弾距離での横方向(水平方向)の照準狙点からの距離を入力する。本来正しくゼロインしていれば0を入力するが、ゼロインしていない場合はその値を入力する事で、この点を基準とする事が出来る。この点を通って、ゼロ距離で照準が合うようにクリック補正して弾道計算をする。クリック補正値は結果の表示の時に示される。
 
 第一縦方向値
第一着弾距離での縦方向(鉛直方向)の照準狙点からの距離を入力する。本来正しくゼロインしていれば0を入力するが、ゼロインしていない場合はその値を入力する事で、この点を基準とする事が出来る。この点を通って、ゼロ距離で照準が合うようにクリック補正して弾道計算をする。クリック補正値は結果の表示の時に示される。
尚、横オフセットだけ計算したい場合は、この項目をブランク(空白)にしておく事が出来る。その場合は、指定した距離の弾道値が自動的に補われて計算される。
 
 確定して次へボタン
この画面の入力情報を確定して保持し、第二着弾点の入力画面に進む。
 
 取消ボタン
入力値を取り消して、メインコントロールパネルに戻る。
 
 
 
 第二着弾距離
第一着弾データ以外の着弾点のデータで、発射位置から着弾位置までの距離を入力する。第一着弾点を撃ったのと同じ条件(スコープのクリックなどは変えない)で撃ったデータをそのまま入力する。
 
 第二横方向値
第二着弾距離での横方向(水平方向)の照準狙点からの距離を入力する。
 
 第二縦方向値
第二着弾距離での縦方向(鉛直方向)の照準狙点からの距離を入力する。
尚、横オフセットだけ計算したい場合は、この項目をブランク(空白)にしておく事が出来る。その場合は、指定した距離の弾道値が自動的に補われて計算される。
 
 計算ボタン
計算ボタンを押すと、計算が始まる。
 
 取消ボタン
この画面の入力値を取り消して、メインコントロールパネルに戻る。 
  

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