弾道計算ソフト2000 Classic
操作マニュアル


 照準図のレチクルイメージを作る
  照準図には、レチクルのイメージを表示する事が出来ます。この章では、お手持ちのスコープのレチクルのイメージを、弾道計算ソフトのレチクルイメージを使って自作する方法を示します。
弾道計算ソフトでは、701dotのレチクルイメージまで表示する事が出来ますので、このイメージを利用してご自分のスコープにあったレチクルイメージを作画する事が出来ます。この例の作画に際してはWindowsのペイントアプリケーションを使用しますが、その他のお絵かきソフトでも作成する事が出来ます。今回の例では、スワロフスキーのZ3 4-12x50スコープ用BRXレチクルをスワロフスキーのホームページからその寸法(ディメンション)を見て、似たようなレチクルイメージを作成します。イメージを作るにはお手持ちのスコープのレチクルの寸法がわからなければ正確な物を作る事が出来ません。もし無いときは、射撃場で100mや50mにマス目を描いた的紙を貼り付け、実際の見え方から寸法を割り出すしかありません。

 
 元になるレチクル画像を作る
 スワロフスキーのホームページにあるBRXレチクルの寸法をMOA表示でプリントアウトしますと、レチクルの寸法は中心から最大18MOAにもなりますので、1dot当たり0.1MOAぐらいの描画をするには、中心から180dot必要になります。そこで、元になるレチクルを弾道計算ソフトの照準図で作成するには、差し渡し400dot以上が必要になります。FOVは100yardで9.9feetですから125MOAになり、601dotで表現すると、目盛り幅5dotとしたとき、目盛り角度を1MOAとして、中心から外側まで60MOAの幅を確保する事でほぼスコープの視界をカバーする事が出来そうです。

  


 

分析図で100yardにカーソルをあわせて表示させ、その画面コピーをとります。
100yardにしておく事で、作画されたレチクルイメージのFOV指定がこの値を使える事になりますので便利です。
この画像はJPGですが実際にレチクルを作るときはbmpファイルで保存する必要があります。

 
照準図をフォーカスして(照準図のどこかにマウスのカーソルを持って行ってクリックする)、ALTキーを押しながらPRINT SCREENキーを押すと、そのフレームの画面コピーがとれますので、windowsのペイントアプリケーションを起動して、「編集」の「貼り付け」を行うとイメージを得る事が出来ます。このイメージを「ファイル」から「名前を付けて保存」をえらび、BRX.bmpというファイルを作ります。上のような画像が保存される事になると思います。
この画像の1dotは0.2MOAの幅になりますので、スワロフスキーのホームページのMOA表示のBRXレチクルの寸法で作画してみましょう。

スワロフスキーのホームページ:
       http://www.swarovskioptik.com/

レチクルの細かい寸法は上記のホームページから取得して下さい(このページの最後の方にも寸法を記載しております)。

 
 windowsのペイントソフトで作画してみる。
 作画するには、イメージが小さすぎてうまく見えませんから、ペイントの表示拡大機能をつかって400%に拡大して表示し作画する事にします。「表示」の「拡大」を選んで「拡大する」を選択すると400%に拡大されますので、この大きさで作画します。まず、クロスから下の最初の一本目までの距離は、1.67MOAとありますので、1.7MOAの位置に横線を引けばいい事になります。ちょうど、1MOA毎にスケールがありますからそれを頼りに横線を引いてみます。最小単位が1dotで0.2MOAですから、丸めて描画するしかありません。

 

画面上の赤い線は着弾点なので、無視する。下の線は適当な長さに1.6dot下に引いた物です。

 
次に、この一本目の長さをそろえる必要がありますので、レチクルの寸法を見ますとこの長さは、6.68MOAとありますので、6.7MOAということですから、真ん中の線を0.1MOAにして、左右は3.4MOAの長さになるはずです。さらに、最初の横線に入る目盛りの幅は、3.37MOAとありますから、3.4MOAとして、おおよそ左右1.7MOAぐらいになりそうです。この長さに合わせて作画すると下記のようになります。

 


 
このようにして、レチクルの寸法通りに少しずつ作画していくと、最終的には下記のような立派なBRXレチクル画像ができあがります。

 


 
ここまで来たらもう勝利目前です。周りの部分をトリミングして、601ドットのbmpファイルを作ります。まず、ペイントで上記作画を表示しておきます。その後、もう一つのペイントを起動して、「変形」を選び、「キャンパスの色とサイズ」を選択して、601ドット(601ピクセル)の画像枠を作ります。最初のペイント画面から、レチクルのイメージに相当する601ドットの大きさの画像をカットして、新しい画像枠にペーストする事で、601dotのbmpファイルを作成する事が出来ます。細かい作業ですから、表示は大きく拡大してずれたりしないように作画する必要があります。レチクル画像の淵には灰色の枠がかかれているので、カットアンドペーストするときは、この灰色の枠の上を囲うようにするとうまく行きます。出来た画像が正しい大きさかを確認するには、もう一度「変形」を選び、「キャンパスの色とサイズ」を選択して表示されるサイズを確認します。ペイントのこの機能で変形させてしまうと、画像が歪んでしまうので、オリジナルからコピーして601x601の画像を作るようにして下さい。
うまく行くと、下記の様なレチクル画像が出来ます。参考のために各部位の寸法を記載しておきます。

 

  • 上部ヘビーポストからセンターまで C2=14.35 MOA
  • 左右ヘビーポストの間隔 C=28.75 MOA
  • 一番上のバーからセンターまで D=1.67 MOA
  • 一番上のバーの長さ D2=6.68 MOA
  • 一番上のバーのスケールの間隔 D6=3.37 MOA
  • 二番目のバー E=5.01 MOA、E2=10.05 MOA、 E6=5.03 MOA
  • 三番目のバー F=8.36 MOA、F2=13.37 MOA、 F6=6.68 MOA
  • 四番目のバー G=11.7 MOA、G2=16.74 MOA、 G6=8.34 MOA
  • 五番目のバー H=15.04 MOA、 H2=20.05 MOA、H6=10.05 MOA
  • バーとバー間の縦のスケール D8=3.34 MOA、E8=6.68 MOA、F8=10.02 MOA、G8=13.37 MOA
  • 下部のベビーポストからセンターまで C3=18.39 MOA

かなり大変なステップですが、複雑なレチクルであってもこの方法で作る事が出来ます。試しに弾道を計算させ、各部分の角度が正しいかどうかを分析図の表示のMOAの値と比較してみる事が出来ます。

注意点:
   (1)PNG画像ファイルかBMP画像ファイルを使用してください。
   (2)標的画像を使用する時は白(赤、緑、青成分が全て255)が透明色(アルファが0)として表示されます。


 
 標準図に表示させてみる
 100yardsでのFOVは最初のスクリーンコピーした画面に表示されています。この時はカーソルを100yardにして表示させた物ですので、その値10.5feetを設定します。

 


 
弾道計算して、作画したレチクルの寸法が正しいかどうかを確認して下さい。出力設定タブで左右の表示単位をMOAにしたり、クリック数を調整して着弾点の左右位置が合っているかなどを確認する事が出来ます。12倍でこのレチクルを使ってみると2800fps~3000fpsでおおよそ700yardの射撃にも使えるような広角なレチクルである事が分かります。


以上で、かなり複雑なレチクルを作画する方法がご理解いただけたと思います。この作業は、レチクルの寸法が無い場合はかなり難しい作業になると思いますが、それでもニコンのBDCレチクルのように単純な物であれば射場で確認して似たような画像を創造する事が出来ると思います。弾道計算ソフト2000 Classicでは、スコープに弾道を表示する事が出来ますので、実践に近い感覚や、クリック数の操作・確認ができます。この機能を利用して獲物に照準したときの狙い越し、上下の関係、クリック補正などを効果的に学習し、頭にたたき込んだ状態で猟場で狙いを付ける補助を致します。

 
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