弾道計算ソフト2000 Classic
操作マニュアル


 SABOT SLUGでの活用(3)
標的集計機能でゼロインした時の標的から統計的な分散値を求めてみます。
通常、効率よくゼロインするときは、3発以上撃ってみて、その中心点をスコープの照準に合わせます。そうしてからまた3発以上撃ってみて、センターに合っているかどうかを確認するのが常套手段です。しかし、この方法だと全体の弾の統計的な分散値がどの程度だったかがよくわからなくなります。もちろん、簡易的には最初の3発のグルーピング(弾痕の最大値)と次の3発のグルーピングの平均値を求めてみてもいいのですが、せっかく撃った弾のばらつき具合が曖昧になってしまいます。弾道計算ソフト2000 Classicの標的集計図では、バージョンV.3.1.6から照準点をクリック補正した場合の「照準の変更」機能が加わり、この様なケースに簡単に対応できるようになりました。クリック調整の数値を入力するだけで、撃った弾全体の統計的な分散値などが求められます。いったん分散値が求められれば、弾のばらつき具合が統計的にどの程度当たるのかがはっきりします。
以下の例では、20番サボットを50mの距離で撃った場合について、この機能の例をご紹介しております。
最初に5発撃って、その結果からクリック調整し、さらに5発撃った時の2枚の標的の写真をつかって、合計10発撃った時の分散値を求めてみます。
 
 最初の5発の弾痕を処理する
最初5発撃った時の写真を読み込んで、センターを得てみましょう。まず、弾道計算ソフト2000 Classicを起動して、メインコントロールパネルの左上「ツール」メニューをクリックして、「標的集計(弾道と連携する)」を選択してクリックします。標的集計図が起動しますので、写真の読み込みボタンを押して、50mで最初に5発撃った標的紙を読み込みます。

 


 
この写真は、カレンダーの裏にマジックで十字線を描いて作った標的紙に5発撃ち込んだものです。そして、透明な下敷きに10cmの正方形の印を付けておいた物を重ねて撮影した物です。
写真寸法指定のボタンを押して、10cmの寸法を合わせます。

 

確定ボタンを押すことで、寸法が決まります。

 
鉛直方向指定ボタンを押して、上下の点を合わせて確定ボタンを押すと次のようになります。

 
 

 
この状態で設定タブを開いて弾の径や標的までの距離を指定します。重ね合わせてクリック値を1/4 MOA単位で入力するには標的までの距離を入れておく必要があります。

 
 
口径通称の中から 20番サポットを選ぶと、10.6mmとなるのでそれを使用
グリッド間隔は下の図のように、縦横の網線が描かれるが、1クリック1/4MOAなので、0.25MOAを指定
標的までの距離は50mなので50mを指定

 
この次に、集計タブを開いて照準を指定します。

 


  
弾痕マーカー指定ボタンをクリックして、画面の弾痕にマークを付けていくと次のようになります。

 
 

 
これで、最初の5発の集計が完了しました。次の標的も読み込んで、最初と同様に弾痕マーカーの指定を行うと、次のようになります。

 
 

 
最初の5発を撃って、クリック調整したので、このままでは正しい分散値などが得られません。

 
 「照準の変更」を設定する。
最初の5発を撃って、クリック調整したので、2枚目の写真では大体センターに当たっているようになっています。この様な状況に対応するために、「照準の変更」を使用します。
最初の5発から、14クリック左、9クリック上に調整しましたので、それを入力します。「照準の変更」チェックボックスをクリックすると、次のようなダイアログが表示されます。



 
単位を1/4MOAのスコープの1クリックの値に変更して、-14(左)クリックと入力
さらに9クリック上なので、9と入力する。

この後、確定ボタンを押す。

 
 全点表示で確認する
全点表示のチェックボックスがオンになっていると、弾痕が全部一枚の写真に表示されるようになります。青で表示されるのは他の写真の弾痕データで、赤がこの写真での弾痕データです。
また、集計値も変化しています。

 

データの表示を見ると弾痕データの右横に()で括られた数値が表示されているがこれは変更した照準の距離である。
弾痕の中心の表示は、写真の表示と共に変化する。
これは「照準を変更」機能で表示されている照準点は固定して表示するが、
他の写真の照準をずらして表示する為である。

 
 実射のデータを評価する
標的写真を見ると、1クリック左、1クリック下に微調整する必要があり、それは10発の統計的に意味のある正確なゼロインとなります。そして、その統計値を見てみると、縦の2.58σの値が50mで約70mmとなりましたので、100mでおおよそ140mm、シカの肺などのバイタルゾーンに当てることが出来そうな結果となっています。これも、統計的に有用なデータといえましょう。
従来の方法だと10発撃って統計値を得て、クリック調整し、さらに10発撃って中心を見極める様な方法になるでしょう。これから比べれば、5発で調整、5発で確認(射撃場で実施)、その結果を重合して10発の統計値を得て、照準の微調整が出来る(自宅でも可能)ようになるのはかなりな効率アップになります。さらに弾速を測定して異なる距離で、それぞれ10発撃てば弾道を高い精度で確定することも可能になります。
従来の方法よりも少ない弾数でより正確なゼロインを行う事は、時間短縮、コストセーブだけでなく、射手の健康や、集中力が高い状態での結果を集計できるという大きなメリットがあります。

 
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