弾道計算ソフト2000 Classic
操作マニュアル


 照準点指定
  標的集計図の集計は全て照準点を基点に行います。複数の写真でも照準点を中心に重ね合わせることによって、一度に統計処理を行うことができるようになっております。
照準点は「照準点指定」ラジオボタンで指定することができます。

 


 
照準点を移動するには、真ん中の丸い点をドラグしてください。照準点の円の大きさは口径によって調整されますので、写真の寸法が正しく指定されていないと極端に大きかったり小さくなったりします。弾痕と同じ大きさになるように、まず、寸法を正しく設定してから照準点を指定するようにしてください。このとき、マウスの右ボタンをクリックすると、画面のセンターが照準点の中心に移動しますので、マウスホイールを回して拡大したり、縮小したりするときに便利です。
全てが照準点の位置に依存しますので、正確に指定してください。

 


標的写真に表示されるスケールはこの点を基点に表示されます。通常は照準点の位置に黒点が小さく表示されます。

   
 「照準を変更」のチェックボックス
「標準を変更」のチェックボックスをオンにすると、この写真の照準点の指定位置を保ったまま、全ての写真の弾痕データを指定値だけずらす事ができます。
途中でスコープのクリック調整をした場合に対応し、たとえば、5発撃ってクリックを変更して又5発撃った場合に使用します。
最初の画面では何もせず、実際に狙った点を照準点で指定します。クリックを変更した後に撮った写真では、実際に狙った処に照準点を指定して、この「照準を変更」を指定して5クリック変更します。
「照準を変更」した場合は、集計値の中心点の集計が変化します。集計値の最初に表示される中心点は最初の写真番号の照準点から勘案した中心点が表示されます。照準を変更した写真が一枚目の場合はクリック変更の意味が失われますが最初の写真での照準指定点から差し引いた値となります。
照準を変更した写真番号では見かけ上の中心点が他の写真番号と異なりますので、表示された中心点の座標を集計値の最後の方に追加で表示されます。

下の様なダイアログが表示されますから、クリック変更した値を投入します。

 
 
この表示はmm単位ですが、右側の単位を変更することで1/4MOAなどクリック数の単位を指定できます。

 
スコープのクリック変更と同じ様に変更することが出来ますが、変更方法についてはスコープの種類によって逆に指定しなければならないことがあります。弾道計算ソフト2000 Classicでは「照準図」の設定と同じでA.P(エイムポイント)です。P.O.I(ポイントオブインパクト)ではありませんのでご注意ください。P.O.IのスコープでUP↑の場合は、照準点を下にずらすことになるので、下のマイナス指定、P.O.IがR→の場合は、照準は左に動くので左のマイナスになりますので、リューポルドなどの場合は、数値をプラスマイナス逆転して投入してください。ツアイスなどの場合はそのままの数値となります。スコープメーカー、商品によって異なるので、スコープの取扱説明書を参考にしてください。
この値は、最初の射撃からの積算値を投入します。たとえば、最初の射撃から、2枚目の標的射撃の間3クリック移動し、3枚目の標的射撃に行く前に4クリック移動した場合は、2枚目には、3クリックと入力、3枚目には一枚目からの積算値、3+4で7クリックと入力します。
尚、写真が3枚以上ある場合は、隣り合わせの写真番号の若い方から相対の位置を計算して指定する事が出来ます。たとえば、2枚目の写真は最初から積算して5クリック左、3枚目の写真は最初から積算して7クリック左の場合、3枚目の写真でのの入力は2枚目からの相対的な値、2クリック左という値を投入することが出来ます。この場合は、次のような表示になります。

 

 
「確定」ボタンを押すと、積算値として値が反映されますが、「写真2の相対値で計算」というボタンを押すと、入力した値を写真2の値に足し合わせて計算して値を反映します。
この計算は、入力画面で一回だけおこなわれるので、写真2の「照準を変更」を後から変えた場合は、今投入した写真3の値は自動変更されませんのでご注意ください。

 
● 例1  最初3発撃って、3クリック左へ修正して3発撃って、標的を変えてさらに3発撃った場合。

  →最初の標的を写真1番、次の標的を写真2番、最後の標的を写真3番とします。
   写真1番は狙った所に照準点を設定し、それ以外はなにもしません。
   写真2番の照準は3クリック左へ修正しているので、狙った所に照準点を設定した後、
   「照準を変更」をオンにします。そして、左へ3クリックと入力して確定します。
       左(-)右(+)    -3   1/4MOA
       上(+)下(-)    空白  1/4MOA

   写真3番の照準は、何もしてませんけれども、写真1番から見ると、3クリック移動しているので、
   「照準を変更」をオンにします。そして、左へ3クリックと入力して確定します。
       左(-)右(+)    -3   1/4MOA
       上(+)下(-)    空白  1/4MOA
   又は、何も入力しないで写真2の相対値でゼロ指定することもできます。
       左(-)右(+)    空白  1/4MOA
       上(+)下(-)    空白  1/4MOA
   「写真2の相対値を計算」ボタンを押します。
   空白の場合は0と解釈して計算し、0を足し合わせるので結果として写真2と同じ値になります。

● 例2  最初5発撃って、上に10クリック、左に12クリック修正して5発撃って、さらに、
      下に3クリック左に1クリック修正して5発撃った場合。

  →最初の標的を写真1番、次の標的を写真2番、最後を写真3番とします。
   写真1番は照準の移動が無いので、狙った所に設定して、それ以外はなにもしません。
   写真2番の照準は上に10クリック、左に12クリック修正しているので、照準点を実際に狙った所に合わせて、
   「照準を変更」をオンにします。
       左(-)右(+)    -12    1/4MOA
       上(+)下(-)     10    1/4MOA
   これで確定します。

   写真3番の照準は2番から、さらにクリックを変更しているので、照準点を実際に狙った所に合わせて、
   「照準を変更」をオンにします。
       左(-)右(+)    -1    1/4MOA
       上(+)下(-)    -3    1/4MOA
   「写真2の相対値で計算」ボタンを押します。

「照準を変更」チェックボックスを使用する場合は時系列順に写真を古い方から先に読み込んでいくと便利です。
この機能を使用しないでも、照準点を実際に狙った点ではなく、グリッドを利用して狙点からクリック移動分だけ照準をずらす事で同じ事が出来ます。正確さは欠きますが、その方が直感的にわかりやすい場合もありますので、両方お試しいただき良い方を使っていただければと思います。

 
 写真のゆがみについて
距離が遠くなるとドロップも大きくなり、大きな標的紙を使用する必要があります。大きな標的の上の方を狙って、50cmぐらい下に着弾させたりもします。この様な標的を写真に撮って集計する場合、写真のゆがみが弾道に影響してしまうことがあります。
もともと、ゆがみがあれば集計値(グルーピング値や標準偏差σなど)が多少なりとも変化します。ところが、ドロップが変わると、そこから逆算して初速を求めたりする場合に結果が大きく変わってしまいます。とくに、50m、100mなど、距離が短い場合は大きく変わってしまいますから注意が必要です。

 


 
上の図のような標的の写真を撮ったとします。照準点を上の狙点に合わせて設定し、標的紙の赤丸の大きさを205mmと入力したとします。その場合、着弾点の中心値は768mm位になります。pixel5でこの写真を撮ると大体100mmで3~4mmのゆがみが出ることがあり、狙点から中心値のドロップ768mmで100mmに付き4mmの誤差があると仮定すると、中心点の狙点からの距離が大きいので、30mmもズレている可能性があるといえます。集計値に関しては、ほぼ10cm以内に入っているので4%位しか誤差はありませんが、ドロップに関しては同じ4%の誤差でも初速や、BC値を逆算する合わせ込み計算では逆算値が大きく変化してしまいます。
これを回避するには二通りの方法があります。
  1. 寸法指定を行う時に、標的紙の黒点を入力するのでは無く、狙点から標的紙の中心点まで定規で測定しておき、寸法指定でその値を入力します。この場合、黒点の大きさが実測値204mmにならず、集計値のばらつきや中心点などに誤差がでます。
     
  2. 狙点を中心点に出来るだけ近い点に指定する(この例の場合標的紙の中心点など)。この状態で「照準を変更」チェックボックスで狙点から中心点までの実際の距離を指定する。そして、寸法線は弾痕近くの標的紙の目印(この場合は、たとえば黒点の大きさを204mmなど)に指定する。この場合、着弾のばらつきや中心点の誤差は小さくなり、かつ、ドロップの計算も実際の値に近くなります。しかし、「照準を変更」機能を使うために入力や操作がややこしくなります。

写真のゆがみがどの程度なのかは標的紙に巻き尺などをあてておいて写真を撮ると、写真に写った巻き尺の指示値と、標的集計図のグリッドが合わないので、どの程度ゆがみがあるか解ります。
大きな標的紙の集計の際には巻き尺などと標的紙を一緒に撮ることをお勧めいたします。

 
戻る