弾道計算ソフト2000 Classic
操作マニュアル


 ドラグファンクションの生成機能について
  弾道計算ソフト2000 Classicのバージョン2以降では、弾道データからドラグファンクションを推定して、生成する機能があります。
メインコントロールパネルのツールメニューから、「ドラグファンクションの生成」を選択し、「ヤード,フィート/秒のCSVデータ読み込み」を選択すると、距離=ヤードと、弾速=フィート/秒単位のCSVファイルを読み込み、そこからドラグファンクションを推定(逆算)して、またCSVファイルにドラグファンクション係数列を書き出します。このCSVファイルは、カスタムドラグファンクション機能で読み込んで計算に使うことが出来ます(ただし、100行まで)。したがって、一つの弾道データが得られれば、そこからドラグファンクションを逆算して、それ以外の距離や気象条件下での弾道計算を行うことが出来るようになります。

データーの単位は、大きく分けて二通りあり、一つはANSI系、もう一つはメトリック系です。
形式はどちらも同じで、次のようになっています。

   距離1, 弾速1, 降下量1
   距離2, 弾速2, 降下量2
   距離3, 弾速3, 降下量3
   距離4, 弾速4, 降下量4
   ・
   ・
   ・

です。ANSI系では、距離はヤード、弾速はフィート/秒、降下量はインチです。メトリック系では、距離はメートル、弾速はメートル/秒、降下量はセンチメートルです。
実際には、次のような数値の列になります。

0,4800,0
100,4386,-2.3
200,3987.9,-9.7
300,3614.1,-22.9
400,3270.7,-42.8
500,2960.2,-70.5
600,2682.1,-107.1
700,2434.8,-154.3
800,2215.5,-213.8
900,2021.3,-287.8
1000,1849.3,-378.7




第三の要素は計算で類推して補えますので省略可能です。
この計算は単純なものなので、市販の表計算ソフトなどでも実行できます。
計算方法は次のようになっています。

   ドラグファンクション係数 = A * dv / V^2 / Vsound

   dv ≒ { V(n) - V(n+1) } / dt
   A = k * a / BC
   a = 1.0 - 1.126666E-5 * L - 6.753074E-11 * L^2
   Vsound = a * Vsound0

   dt ≒ 距離 / 平均速度
   平均速度 =  { V(n+1) + V(n) } / 2
   距離 = X(n+1) - X(n)

Vsound0は標準大気での音速1120.27fps、BCはバリスティックコエフィシェント、kは単位系補正定数です。Lは0でaが1になりますが、弾頭の降下量で高度が変わりますからLも変化します。
実際に計算する時のBC値はメインコントロールパネルの弾道計算タブにある「弾のBC値」を引用します。それ以外の気象条件はコントロールパネルの気象条件タブに設定された諸元が使用されます。従って、読み込ませるデータを計算した時の気象条件とBC値をあらかじめ設定しておく必要があります。
(n)の意味はn行目のCSVデータという意味で、1行目と2行目の二つの距離と速度のデータから、一つのドラグファンクション係数が求められます。ドラグファンクションのデータは最低でも3行以上なければ意味をなさないので、プログラムでは3行以上のデータを要求してきます。
この計算はあくまで簡易的計算であって、生成されたドラグファンクションには±20%程度の誤差を含むこともあります。原因は、速度の精度です。フィート/秒はメートル/秒に比べて、細かい(1feet≒30cmと1mの違い)ので速度の精度が良く計算できます。また、速度が大きい方が桁数が多いので精度が良いですが、速度が遅くなると桁数が減り精度が悪くなります。4桁の数字と3桁の数字では精度が10倍も違います。弾道計算ではこれらの影響は全て考慮された桁数の大きな内部表現を使用して複雑な計算がなされますが、ドラグファンクションの逆算では考慮されません。入力された速度の表記精度が、たかだか4桁しかないので、細かい条件は考慮しても無意味だからです。桁数の少ないデータで計算すれば丸め誤差などでグラフに凹凸が生じたりします。これを使う場合はあくまで概算値としての利用にとどめてください。
細かく一致させたい場合は、得られたデータを弾道計算ソフト2000 Classicのドラグファンクション修正機能を使用して、元データと合わせ込む必要があります。
この機能で得られたドラグファンクションはマッハ0~5までの完全なデータではありませんので、これをそのまま使うとデータの無い部分の速度計算において期待と異なる結果が得られる可能性があります。再利用するときはマッハ0~5までのデータを妥当なものに補完しておく必要があります。弾道計算ソフト2000 Classicではデータの無い領域では、端点と隣接する二点の直線の延長を外挿して使用しますが、外挿するとドラグ係数がマイナスになる場合は、次の方法で補完します。

1)ドラグ係数0、マッハ0の始点から最初のドラグ係数までを直線で補完して使用します。
2)最後のドラグ係数からは、ドラグ係数0、マッハ5までを直線で補完して弾道計算します。


尚、生成プログラムでデータは何行でもメモリの許す限り元データを読み込んで計算します。ですから、100行以上のドラグデータを生成することも可能です。しかし、ドラグファンクション読み込み機能では101行以上のドラグファンクションは読み込まず無視されますのでご注意ください。生成されたドラグファンクションのデータはマッハ0~マッハ5までを101行以内に減らして整形し再利用してください。

 
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