弾道計算ソフト2000 Classic
操作マニュアル


 分析図画面のカーソル
黒の十字線がメインカーソルです。その周りに補助カーソルが表示されます。青い線の四角形カーソルは諸条件タブで集弾幅を指定すると表示されるようになりカーソルの縦距離で集弾幅を表示します。赤い線の四角形カーソルは弾道計算タブでPBR幅を指定すると表示されるようになります。黒い線の四角形カーソルは、危険領域を示しています。分析図タブで「危険領域をカーソルに表示」チェックボックスをオンに(ディフォルト)し、PBR幅を指定すると表示されるようになります。
それぞれのカーソルには縦の幅、横の幅に意味合いがあります。

 

赤線の補助カーソル(赤い四角枠)は、獲物の急所を代弁しています。図中の縦の長さは、獲物のバイタルゾーンととらえてください。もちろんPBR幅で指定していますので、長さはPBR幅になります。赤い四角枠の横の幅は、獲物のキルエネルギー(殺傷に必要なエネルギー)を示します。この値は、諸条件タブのKill Energyの欄で指定しますが、出荷設定は1000ft・lbf(フットポンド)です。Nm(ニュートン・メートル = ジュール)では1360Nmほどになります。おおよその値ですから、1000ジュールと考えても良い程度の値です。
さて、青線のカーソル(青の四角)は、縦が弾頭の集弾幅、横が弾頭のエネルギーを示しています。集弾幅ですから近ければ短く、遠ければバラツキが大きくなり長くなります。赤線が獲物のバイタルゾーンですから、青線は赤線よりも、縦が狭い必要があります。赤線よりも大きいと言うことは、外れてしまう可能性があると言うことが解ります。狩猟ですから余裕を持った射獲距離を考えるべきですので、赤線の枠を越えない範囲で猟をする場合の最大距離が一目でわかります。また、青線の横幅はエネルギーですから、距離が遠くなれば短くなります。獲物を倒す為の必要エネルギーがあった方が良いわけですから、赤線の大きさよりも常に大きい距離範囲で猟をした方が良いでしょう。カーソルを見ることによって、エネルギー的に獲物が倒せる距離範囲が一目でわかるようになっています。

 1)青線の縦幅は、赤線よりも小さい方が良い(重要事項)。
 2)青線の横幅は、赤線よりも大きい方が良い(参考程度)。

上記の条件を満たした範囲で猟をするのが良いと思います。

 

 
この図の黒線四角カーソルはPBR幅での危険領域(デインジャラス・スペース)を示しています。
黒線四角の縦の長さはPBR幅を示していますが、横幅は弾道との交点になっています。この黒線内部の領域は、Dangerous Space(デンジャラス・スペース)といって、弾道の上下変化がPBR幅内に納まる区間を示しています。例えば、340mに狙いを付けていたとき、距離を見誤った場合でも298mから374mの間に獲物が居れば、PBR幅で示した範囲内に着弾する領域を示しています。
図では集弾幅が青線で示されているので、狙いを付けて本当にあたる範囲はもう少し狭い事が分かります。実際に撃ち込んだ時、たまたま青線の一番上に着弾してしまう可能性がある事を青線四角カーソルは示しています。このとき、PBR幅を超えてしまう限界の位置が、黒線カーソルの内側にある四つの突起で示してあります。この位置は集弾幅に弾が広がった場合、弾道から考えてPBR幅を超えてしまう境界線です。集弾幅がPBR幅より狭い場合に表示され、また、集弾幅とPBR幅の交点が存在する場合に表示されます。詳細はこの下に記述されている「危険領域について」をご覧ください。

 
赤線四角カーソル
十字線カーソルの中心の周りにある赤い線。PBR幅の欄に数値を入力することで表示されるようになる。PBR幅の欄がブランク(入力されていない状態)の場合は表示されない。このカーソルの縦の長さはPBR幅で指定した長さになる。横の長さは固定であるが、獲物を倒すのに必要なkill Enagyを表現している。赤いカーソルよりも、青いカーソルが横に広いとき、弾頭のエネルギーがKill Enagyを上回っているという表現になる。
 
青線四角カーソル
十字線カーソルの中心の周りにある青い線。集弾幅の欄に数値を入力すると表示されるようになる。ブランクだと表示されない。縦の長さは集弾幅で指定した、集弾幅を各距離に応じて拡大、縮小する。一方、赤い線は獲物のPBR幅であるので、獲物を倒すには青い線が赤い線よりも縦に短くなければならない。横の長さは赤線カーソルの横の長さを、キル・エネルギーとした場合の比率で表示する。従って、横の線は赤い線よりも長くなければならない。
 
黒線四角カーソル
分析図タブの「危険領域を表示する」チェックボックスをチェックする事で表示される。カーソルの中心点においてPBR幅以内に着弾する距離の範囲を表示する。この範囲はDangerous Space(デンジャラス・スペース)と言うが、ここでは危険領域と称する。カーソル内の突起は、集弾幅とPBR幅が指定され、PBR幅よりも集弾幅が小さく、かつ、集弾幅内の弾道がPBR幅と交点を持つ場合に、その交点の距離の黒線枠の上下両方に表示される。
 
水平カーソル・角度カーソル
十字線の横線は、水平と角度が選択できる。弾道表示エリアに数値が表示されるが、これは横線カーソルと弾道曲線との交点である。同じ位置にある曲線中の交点を表示する。角度カーソルにおいては同じ照準角度の交点を表示する。赤は解析中の曲線の数値で、オレンジは保存した曲線の交点の数値である。
 
 危険領域について
  危険領域表示機能と、右クリックの位置表示機能を使用すると着弾範囲の距離に関する余裕具合を分析する事が出来ます。先ほど、危険領域はPBR幅内部での範囲であるとご紹介しました。その指標は弾道そのものの性能を評価するのには有効ですが、実際の手ぶれによる着弾範囲で吟味する場合、これでは不足です。なぜなら、手ぶれや銃の性能で集弾範囲内で上下に弾がばらつくのですから、たまたま上に当たるときと、下に当たるときでは、危険領域を逸脱してしまうこともあるからです。
PBR範囲を獲物の急所の範囲(バイタルゾーン)と考えると、その範囲よりも集弾範囲は小さくないと獲物を半矢にする可能性があります。ですから集弾範囲がPBR範囲よりも小さい地点で射獲する事になるはずです。そして、実際に撃ち込んだ弾道は、たまたま、その集弾範囲内の一番上になる事もあります。その場合、獲物の距離を見誤ってしまったり、狙いを付けている間に獲物との距離が詰まってしまったりすれば、獲物のバイタルゾーンを外してしまう事があります。
下記の図は、たまたま一番上に逸れてしまった場合の境界をオレンジの線で示しています。赤線の弾道とオレンジの境界線は、距離が遠くなれば広がり、近くなれば縮みます。

 



弾道の性能として、距離が遠い場合は下降度合いが大きくなりますから、上図のように前後距離を見誤ってしまうと外してしまう事があります。危険領域表示ではこれを図からおおざっぱに読み取る事が出来ます。
獲物は常に動きますから、狙ってる間に数歩、数十歩あるいて最初に観的した位置から前後に移動してしまう事があります。山の稜線など傾斜地の場合は左右に移動してる様に見えても、傾斜方向次第で奥へ移動して距離が変わる事もあります。したがって見誤りの範囲もある程度必要になります。状況次第でいろいろ変わりますから、正確性よりもどの程度まで行けるのかを知っておく事が重要です。
弾道計算ソフト2000 Classicのバージョン1.31からマウスの右クリックを押す事で、そのマウスポインタの分析図上での位置情報を表示する機能がありますので正確な数値を得る事も出来ます。
下図では左上の突起にマウスポインタを合わせて、右マウスボタンを押したところです。表示はバージョン2より、 YYY@XXX(弾道の値y1カーソルとの差分y2) という形式になります。YYYはマウスポインタの図上の値、XXXは距離、y1は弾道曲線の距離XXX地点の値、y2は距離XXX地点における、弾道曲線とカーソル線の鉛直方向の距離です。

 

 

図中、-7.6はマウスポインタの矢の先の図上の数値、続く@327は距離
()内の表示、-10.8は、赤の弾道曲線の距離327の時の縦照準位置
1.6は、距離327の時の赤の弾道曲線からカーソルの横線までの鉛直方向の差分


危険領域は獲物のバイタルゾーンや集弾範囲といったファクターが含まれます。バイタルゾーンは獲物の大きさやタフさ、弾の威力などによって大きく変化する不確定な要素です。また、集弾範囲も風の影響、気象条件の影響などによって若干変化しますので、実際の猟においては臨機応変に射獲範囲を見積もる姿勢が必要になってきます。
これらの事をはあらかじめ把握するために図から読み取っておおざっぱに覚えておく事をおすすめします。

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