弾道計算ソフト2000 Classic
操作マニュアル
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標的集計図は、射撃場で撃ってきた標的を写真にとって、それを読み込み、弾痕にマーカーをつけ、位置を集計するために作られました。紙を使って手作業で集計するのが最も正確にできますが、正確に集計するには高い熟練と、集計用の専用定規などが必要になってきます。弾道計算ソフト2000
Classicの標的集計図では、熟練したレフリーが手動で行う正確さはありませんが、標的紙の写真を撮ってそれを読み込んで簡単にマークすることで、ある程度有用な集計ができるように設計されています。
もちろん正面から写した標的紙の写真でなければ集計に誤差が出ます。近いものが大きく写り、遠いものが小さく写るからです。
スマホのカメラには正面を示すマーカーやインディケータがありますので、こういった機能を使用することで正面から標的紙を撮影することができます。こういった機能のない場合でもちょっと気をつけて写すことで、正面から5°以内に合わせることは容易です。
たとえば50cm離れた標的を正面から撮影しようとして角度が5°ずれたと仮定します。これは、標的紙の中心を正面から撮影しようとして、4cmほど中心からずれた場合となりますが、カメラのファインダーを見ると標的紙の四角形の紙が歪んで見えるので正面ではないのがわかります。この場合、20cmにばらついた弾痕を撮影すると、その誤差は最大約4%以下で、5cmのばらつきの場合は最大誤差1%以下になります。傾向としては撮影距離を長くすると誤差は減り、また、弾痕のばらつきが小さくなると誤差は減ります。
ですので、できるだけ正面から中心を狙って撮影するのがよろしいようです。どうしても斜めになってしまった場合の救済措置として平面加工機能もあり、斜めから撮った写真を正面からの写真に修正加工(非推奨)することもできます。
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メインコントロールパネルのツールメニューから「標的集計(弾道と連携する)」を選択すると標的集計図が現れます。弾道と連携するのと弾道と連携しないのがありますが、弾道と連携する場合は標的集計図で標的までの距離を入力したときにメインコントロールパネルの弾道計算を行った結果を反映して弾の下がりを追加して集計するようになります。たとえば、100mと150mで撃った標的を読み込んで同時に集計する場合、その弾の弾道計算を行う事で150mの弾の下がり具合を考慮して100mと150mの弾痕を拡大縮小しながら同時に評価することが出来るようになります。距離の違う標的を集計するときだけ有効ですが、そのような事をしないで弾道と切り離して標的集計をしたい場合は弾道と連携しない方を選択して起動してください。
どちらで起動したかは、左上のウインドウタイトルに「標的集計図(弾道と連携する)」などと表示されます。
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標的集計図は最初に何も写真が取り込まれていないので、上図のようにほぼブランクで表示されます。最初はまず、標的の写真を読み込むことから始めます。「写真の読み込み」ボタンを押すことでファイル選択をすることができます。スマホなどで撮影した標的の写真を指定してください。
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標的写真を選択すると、下記のような図が表示されます。
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画面上でマウスホイールを回すと写真の拡大・縮小ができる。
画面上でクリックしてドラグすると写真を移動することができる。
尚、スマホで撮った写真など、アイコン表示では上下が正しく表示されていても 読み込んでみると違っている場合があるのでご注意ください。弾道計算ソフト2000 Classicでは、
記録された画像データだけを忠実に表示するだけの機能しかありません。
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画面の操作方法
- 図中でのマウスの操作
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- 丸い円(端点や弾痕マーカー)をクリックすると、その円を選択したことになり、端点の場合は二重丸、弾痕の場合はアンダーラインまたは中塗りの丸印がつく。これらの選択された点はドラグすれば移動できる。
- 端点以外の場所でドラグすると写真が移動する。
- ホイールを回すと写真が拡大・縮小する。
- 端点以外の場所で右クリックすると、マウスポインタに近い端点を画面の中心に表示する。すでに中心にあるときは、次の端点を中心に表示する。拡大・縮小するときに便利である。
- 弾痕マーカーの端点内で左クリックすると、「これを中心に表示」と、「削除」するメニューが表示される。 すでに中心にある時は「この次を中心に表示」または、「弾痕平均を中心に表示」がでる。中心に表示すると拡大・縮小が便利である。弾痕マーカーの端点以外で左クリックすると、「クリップボードにコピー」するかのメニューが表示される。
- メニューは以下の3種類がある。
- 「削除」は、選択されたその番号の弾痕を消去し、欠番になった番号は大きい番号から順番に詰められて、番号の変更が起きる。たとえば、1、2、3、4、5とある時に3を削除すると、4が3に変更され、5が4に変更になる。
- 「これを中心に表示」は、選択した弾痕マーカーを画面の中心に表示する。すでに弾痕マーカーが中心にあるときは、次の番号の弾痕マーカーを画面の中心として表示し、最後の弾痕の時は弾痕平均を中心に表示する。選択した弾痕マーカーが中心に表示された物でないとき、「この次を中心に表示」は、選択された弾痕マーカーの次の番号の弾痕マーカーを中心に表示し、最後の弾痕マーカーの時は1番の弾痕マーカーが選ばれる。
- 「クリップボードにコピー」は、現在表示されている画面を、ウインドウズのクリップボードにコピーする。この状態で、エクセルなどの画面でペーストすると、画面をエクセルに貼り付けることができる。
- 「戻す」は、直前に行った変更を戻す事が出来る。消した弾痕などを回復できる。画面の「閉じる」ボタンの下の四角枠の中にCrtl+Zという表示がついているときだけ有効で半消えの時は出来ない。
この表示をクリックしても動作を戻すことが出来る。
- 図中でのキーボードの操作(マウスポインタを写真表示範囲に移動しておく必要がある)
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- 「→」、「↑」、「↓」、「←」キーを押すと、端点があるときは端点を移動し、無いときは写真を移動する。
- 「m」、「h」、「n」、「b」キーは矢印の代替。端点があるときは端点を移動し、無いときは写真を移動する。
- 「z」、「+」キーはズームインする。
- 「x」、「-」キーはズームアウトする。
- 「Numpad0」、「Home」、「Insert」、「c」キーは選択された次の端点を中心に表示する。中心に表示された端点は選択され移動できるようになる。
- 「Enter」キーは、画面の中心に弾痕マーカーを追加する。(弾痕マーカー設定の時)
- 「BS」、「Delete」キーを押すと、弾痕マーカーが一つ消去される。
- 「ESC」、「End」キーは選択を解除して画面移動できるようにする。端点の二重丸またはアンダーラインが消える。
- 「Ctrl+Z」キー(コントロールキーとZキーを同時に押す)を押すと、直前の動作を取り消して戻す。画面の「閉じる」ボタンの下の□の中にCrtl+Zという表示がついているときだけ有効で半消えの時は出来ない。
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表示されているボタン類は下記のような機能を持っています。
- 写真番号
- 標的集計図では複数の写真を読み込んで、一括して集計を行うことができる。たとえば、10発を続けて撃つ場合に、最初の5発と後の5発を2枚の標的に分けて撃つ場合がある。このような場合、2枚の写真を読み込んで一括して中心点(MPI)やばらつきなどを分析できる。写真番号の表示窓の左右にある「◀」や、「▶」をクリックすると複数の写真表示を切り替えて編集することができる。ボックス内で右クリックしてメニューを表示させて変更することができ、マウスホイールを回しても変更出来る。
- 閉じるボタン
- 集計をやめて画面を終了する。データを保存していない時に閉じるボタンを押すと、集計結果は全て破棄される。
- Ctrl+Z
- 閉じるボタンの下にある、□で囲われたCtrl+Zをマウスでクリックすると、直前に画面で行った操作を破棄して、元に戻すことが出来る。
- 写真の読み込みボタン
- 標的集計図は写真にマークして距離を割り出し、撃ち終わったデータの集計をすることを目的としている。最初に標的の画像を読み込む事から始める。このボタンを押すことによって、ファイルを選択し写真を読み込む事ができる。ファイル選択画面では、ファイルのタイプを写真関連ファイルだけ表示したり、全てのタイプのファイルを表示したりの選択が可能である。
- 複製ボタン
- 一枚の紙に複数の標的がある場合、写真は一枚であるけれども処理する標的が複数できる。このような場合、読み込んだ写真の複製を作ることで、一枚の写真に複数の標的がある場合に使うことができる。もちろん、一枚の標的画像を複数回読み込んでも同じ事ができるが、読み込んだ写真毎に寸法や回転具合、平面修正などの画像処理をしなければならなくなる。複製の場合は一枚の写真画像を共有するので、寸法や回転具合、平面修正などを一度で済ますことができる。副産物としてデータの保存や読み込みのサイズが小さくなり待ち時間も短くなる。
- 削除ボタン
- 現在表示中の写真番号の画像を消去する。保存していない場合は「削除」によってデータは消失し復元できない。
- 全点表示チェックボックス
- 複数の写真に弾痕のマークをしていった場合は他の写真の弾痕マーカーは見えなくなる。照準点を中心に全ての弾痕のマーカーを同時に表示したいときに、このチェックボックスをオンにする。 写真の寸法と大きさによっては、他の標的の弾痕マーカーが現在表示中の写真表示範囲を超えてしまうことがある。このような場合は他の標的の弾痕マーカーは表示できない。センターが同じ標的写真を撮るときは大体撮影距離をそろえて、できるだけ似たような範囲が写るようにする事をお勧めする。
- 単位変換チェックボックス
- このチェックがついているとき、入力値の値が単位を変更するときに単位変換される。たとえば、10mmの時にmmをcmに変えると、1.0cmに変換される。タブ内の何も表示されていない所で、マウスの右クリックをすると、一回だけ単位変換出来るようになる。メインコントロールパネルの単位変換チェックボックスと同じ様に動作する。
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- 集計タブ
- 写真の寸法指定や、鉛直方向の指定、照準点の指定、弾痕マーカーの指定、中心点(MPI)の表示や統計データの表示など、必要な集計操作を行うタブである。
- 写真寸法指定ラジオボタン
写真内の標的紙の寸法を指定する。
- 鉛直方向指定ラジオボタン
写真内の上下を指定する。 - 照準点指定
写真内の標的で、実際に狙いを付けた点を指定する。
- 弾痕マーカー指定
写真内の弾痕にマークして、集計できるようにする。
- 集計しないチェックボックス
この写真の弾痕を集計しない場合はチェックを付ける。
このチェックボックスで右クリック、又はその文字部分でマウスをクリックするとメニューが出る。 集計しない、集計する、その写真番号だけ集計したり、全部を一回で 集計に入れたりが出来る。
- 照準を変更チェックボックス
この写真番号の照準を指定した分だけずらす事ができる。途中でスコープのクリック
調整をした場合に対応する。
たとえば、最初の3発を撃って上に3クリックずらして次に3発撃った場合、最初の
3発を写真番号1番で集計して次の3発を写真番号2番で集計したとする。写真番号2番の
集計で照準点を狙った位置にセットすると写真番号1番とは3クリック上にずれてしまう。
そこで、このチェックボックスを使って上に3クリックと指定して修正できる。
照準の変更量は最初に撃った時から積算した変更量を入力する(例を参照)。
照準を変更すると、その写真番号の中心点の値は補正されて集計値の弾痕データの
後に追加で表示する。
- 説明ボタン
説明ダイアログ画面を表示する。
- 写真修正タブ(非推奨)
- 標的写真は正面から撮影したものでなければ、距離の違いによって寸法が変わってしまい、正しい集計データが得られない。写真修正タブでは斜めから撮影した標的の写真を正面から撮影した写真に画像変換して集計ができるようにする。画像変換を行う都合上、写真の解像度や写真の隅がはみ出して消えてしまうことがある。したがって、できるだけ正面から写した写真を使用することをお勧めする。修正にはカメラのレンズ焦点距離、または、撮影した時の標的までの距離情報が必要である。尚、曲面の修正はできない。
- 写真平面修正ラジオボタン
斜めから写した写真を正面から写した写真の様に変換する。
- 正方形の指定
- 辺の長さラジオボタン
写真内の正方形を指定する時、一辺の長さを指定する時に選択する。
- 対角の長さラジオボタン
写真内の正方形を指定する時、対角線の長さを指定する時に選択する。
- 撮影条件
- レンズ焦点距離ラジオボタン
レンズ焦点距離を指定する時、35mm換算した時の値を指定する。
スマホの場合は28mmが多い。画像ファイルのプロパティに記載されている事がある。 - 撮影した距離ラジオボタン
撮影した距離を指定する時、カメラと標的紙までの距離を指定する。
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- ファイルタブ
- 編集中の画像データや統計情報などを保存したり、読み込んだりする、平面修正や鉛直修正した標的画像を保存したり、統計結果をCSVファイルに書き出したり、一連のファイル操作ができる。
- 設定タブ
- 設定タブでは、弾痕の大きさ(口径)の指定や、グラフに表示されるマス目(スケール)の幅、写真の透明度、マーカーの色などを指定することができる。
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