弾道計算ソフト2000 Classic
操作マニュアル
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バージョン2.2以降から、一度ゼロインした銃で違う弾を撃った場合や、違った気象条件で撃った場合の弾道を予測する機能を「状況の変化」タブにまとめました。以前の初速、BC値の変更計算と似たような機能ですが、気温、気圧、高度、湿度を個別に変えたときの計算がやりやすくなりました。
射撃場でゼロインした場合、射撃場の気象条件で狙った中心に弾が当たる様に合わせた事になります。しかし、実際に猟を行う場合は射撃場の状況とは異なることがあります。山に登れば高度が変わりますから、そこでの着弾について、あらかじめ知っておくことも大事です。高度、気温、気圧、湿度、どの距離でデリケートになり得るのかは、それぞれのBC値や弾速によって変わってきます。
また、実猟用の弾でゼロインしたけれども、射撃大会で射撃用の弾を使った場合、どの程度の弾道になるかも気になるところです。この場合、実際は銃身の振動が関係してきますので、弾速の遅い装弾と弾速の早い装弾で必ずしも上下だけがずれることはありません。違った弾を撃つときは、現実的には的撃ちをやって確認しておかなければ安心できません。一般に銃身の振動によって上下左右に着弾がそれる量は100m
で半径50cm程度だと言われます。これは、銃身の長さや太さ、機関部や銃床の強度によって、どれだけずれるかは条件次第です。それでも銃身の振動は大きなファクターになります。
そういった事情があっても、速度の違いだけでどれくらい的から外れるのかを知っておくことは重要です。このタブの機能を使用すると、それらを簡単に調べる事が出来るようになっています。
「状況の変化」タブは、下記のようになっております。
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「ゼロインした状況から、速度・BC・気象条件が変化した場合の弾道計算」のチェックボックスをクリックすると、下記のように色々なフィールドの入力が出来るようになります。
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- 初速の変化
- 「弾道計算」タブやその他、このタブ以外の諸条件でゼロインした銃で、このタブで指定した諸条件に変えて撃った場合の弾道を計算する。このタブ内の他の欄で指定した数値はすべて変更して計算が行われるので、変更したくない項目は空欄にしておく必要がある。条件が大きく違うと弾道が大きくずれてしまいゼロ距離でゼロにならないこともある。
実際には、ゼロインしたときとは異なった気象条件で猟を行う事がある。初速の変化は、温度変化によって火薬の燃焼状態が変わり、弾速が違ったものになる事に対応する。外気温が5度での弾速は、外気温が20度の場合よりもかなり火薬の燃焼が悪くなって、弾速が低くなる事がある。火薬の種類によって大きく値は異なるが、一般的に言われているのは、1℃当たり2.5fps(1Fで2fps)弾速が低下するようである。この機能を使用して、あらかじめ射撃場でゼロインした銃で、温度の都合で弾速が上下した状態でどの程度着弾が異なるかを把握することが出来る。ただし、あまりに速度が変わってしまう場合は、ゼロインそのものが違った物になる事がある(銃身の振動条件による)ので、この機能で全てが把握出来るわけではない。猟場の近くに射撃場があれば、実際にそこでゼロを確認する事の方が遙かに正確に見積もりを行うことが出来る。弾速が大きく変わるケースとしては、冬の猟期中にマックスロードを決めた薬量のロードを夏場の有害駆除で使用するというのがある。温度が上がる場合は、オーバープレッシャーになる可能性が高く、速度が大幅に高くなり、かつ、危険な状態にもなる。
- BCの変化
- このタブのBC値と初速を利用して、ゼロインした装弾と初速やBC値の少し違った装弾を撃った場合の弾道予測をする事も可能である。しかし、初速や弾頭が異なる装弾を撃った場合、銃身の振動が大きく変わって必ずしも上下だけに着弾がずれるとは限らない。また、集弾も変わることがあり、バラツキが大きくなると、着弾点の中心位置を得ることも難しくなったりする。装弾が違うときは、集弾性能を含めて一度ゼロインをやり直すつもりで臨んだ方が良い。
バージョン2.1以前では、気象条件タブの実効BC値を計算して気象の変化を実効BC値の変化に換算して弾道を推定していた。バージョン2.2以降から気象条件が異なる場合は、このタブの気温、気圧、高度、湿度の欄を変更して計算出来る。
- 気温
- 「気象条件」タブ内の気象諸条件やこのタブ以外の諸設定でゼロインした銃で、この欄で指定した諸条件に変更して撃った場合の弾道を計算するので、ゼロ距離でゼロにならない。気温を変更したい場合はこの欄に指定する。値も単位も独自に設定できる。高度によって標準気温は変わるが、ここで入力する値は撃つ場所で測定した絶対値を入力する。「気象条件」タブにある気温と同じ意味である。元の環境から変えたくない場合は空欄にする。ただし、高度が高くなれば気温は低くなるので、空欄にしておくと実際とは異なることがあるので注意が必要である。
- 高度
- 気温と同様に、他のタブで指定された諸条件のもとでゼロインした銃を、このタブ内の諸設定に変更した場合の計算を行う。撃つ場所の平均海面からの高さを入力する。「気象条件」タブにある高度と同じ意味である。元の環境と同じ場合は空欄にする。ただし、違う場合は、気温、気圧の欄も測定値を入力する必要がある。気圧、気温は高度によって変わってくるので、空欄にしておくと指定した高度で元の高度と同じ気温だったという事になるので注意が必要である。
- 気圧
- 気温と同様に、他のタブで指定された諸条件のもとでゼロインした銃を、このタブ内の諸設定に変更した場合の計算を行う。ここで入力するのは撃つ場所で測定した値である。「気象条件」タブにある気圧と同じ意味である。元の環境と変わらないのであれば空欄にしておくことも可能である。しかし、高度が変われば気圧も変わるので、高度が違うときは正しい値を入れておく必要がある。
- 湿度
- 気温と同様に、他のタブで指定された諸条件のもとでゼロインした銃を、このタブ内の諸設定に変更した場合の計算を行う。ここで入力するのは撃つ場所で測定した値である。「気象条件」タブにある湿度と同じ意味である。元の環境と同じ場合は空欄にする事も可能である。しかし、低地から山頂まで同じ湿度であると言うことは、実際の環境では希である。理論的には同じ水蒸気量を含む気体が高度を増して減温・減圧していくと湿度は増す。しかし、実際の大気状態をラジオゾンデで測定していくと、高度が増すと湿度が若干下がる傾向が計測されている。気象庁のホームページでこれらの測定結果が公表されていたりするので参考にしてもらいたい。計算では湿度が弾道に影響するのは気圧に比べて少なく、平均湿度を入れたとしても影響が少ないことが多い。
- 基準値ボタン
- 気温と気圧に、基準値を入力したいときはこのボタンを押す。値は、アバディーン標準大気で定義されている各高度における気温、気圧が入力される。ICAO標準大気がオンの時はICAO標準大気での値になる。「気象条件」タブの基準値ボタンと同じ働きである。
- ICAO標準チェックボックス
- 基準値ボタンで計算する体系をアバディーン標準大気ではなく、ICAO標準大気の規定計算する様に変更する。「気象条件」タブのICAO標準チェックボックスと同じ働きをする。バージョン2.3から出荷設定でオンの状態になる。
- 海面更正ありチェックボックス
- 気象条件タブのチェックボックスと同じ働きをする。
猟場の気温、気圧がわからないときは、猟場の地域の気象台の公表するデータを代用するしか無いが、その場合はこのチェックにする。
ただし、このチェックボックスをオンにするときは、気圧、気温の値の欄が空欄だった場合、気象条件タブで指定された値が使われるが、元々の気象条件タブの海面更正ありのチェックボックスがオンになっていない場合は、双方のタブでデータの意味合いが違う事になるので、注意が必要である。
- CANT角の変化
- CANT角については諸条件タブで指定する事で計算することが出来る。ここでも同じ様に計算することが出来るが、諸条件タブでCANT角のままゼロインにチェックした計算をした場合、その後の状況の変化でCANT角が変化したときの計算を行うときに主に使用する。また、数値結果表示画面でCANT角をオプションで指定して、いろいろ変化させて計算するときにも有用である。
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