元々、Parchive は通信エラーや回線切断が多いパソコン通信や、 定期的に記事やファイルが消滅するニュース配信システムなどで、 より効率的にファイルを配布する為に作られた技術です。 PAR 1.0 は「大量の分割ファイルを配布する際に、一部に転送エラーや欠落があっても、 それをリカバリ・ファイルで補えるようにする」という用途に適しています。 ニュース・グループでは記事やファイル一個の大きさに制限があり、 分割することが普通だったので、PAR 1.0 の仕組みもそうなっています。 しかし、サイズの異なるファイルどうしでは効率が悪かったり、 一個の大きなファイルに対してはリカバリ・ファイルを作れない問題があります。
  そこで、仮想的にファイルを分割するスライス (ブロックともいう) という概念が PAR 2.0 では導入されました。 PAR 2.0 は PAR 1.0 の改良版でより柔軟に効率良く修復できるようになってます。 分割する必要がなくなったので、 大きなファイルでもそのままリカバリ・ファイルを作ることができます。 「ファイルをダウンロードして、一部のデータが化けてたり末尾が少し途切れていても、 それをリカバリ・ファイルで補えるようにする」という用途に使えます。 しかし、現在のインターネット通信用の機器にはエラー訂正機能が 標準で備わってるため、通信エラーが発生することはまずありません。 これがファイル修復ソフトがほとんど使われてない理由で、 根本的に通信中にファイルが破損しないのでファイル修復ソフトの出番が無いのです。
  しかし、記録媒体が破損する可能性は今でもあります。 フロッピー・ディスクは昔からよく壊れますし、 自分で焼いた CD-R や DVD-R も何年も経つと劣化して読めなくなることがあるようです。 そういう所では、ファイル修復ソフトにもまだ出番があります。 HDD も壊れると損失が大きいのですが、 全てのデータが同時に失われる状況ではリカバリ・ファイルは役に立ちません。 あくまで Parchive というのは、部分的な破損を、 残った部分とリカバリ・ファイルを使って修復するものです。
  「FD や CD-R にデータを書き込む前に、リカバリ・ファイルを作っておくことで、 一部が読めなくなっても、それをリカバリ・ファイルで補えるようにする」 という用途に使うことができます。 FD なら書き込むファイル単位でもいいのですが、ファイル数の制限があるので、 CD-R ならイメージ単位の方がよさそうです。 データが複数の FD や CD-R にまたがる場合は、リカバリ・ファイルは専用の ディスクに記録しておくことで修復が容易にもなります。 一枚の CD-R が割れて全てのデータが完全に読めなくなっても、 残りの CD-R とリカバリ・ファイルを使ってディスク・イメージを修復して、 再度そのイメージを CD-R に焼けばいいという具合です。 概念的には HDD の Raid システムと同じようなものですが、 FD や CD-R は全体が完全に読めなくなる可能性は低いので、 リカバリ・ファイルは小さくてもいいのが違いです。 ただし、破損してない部分を利用する為には、 破損してない部分を読み取るためのソフトが必要です。 それをするのが一般的なファイル復旧ソフトの役目で、 「ファイル復旧ソフト」と「ファイル修復ソフト」を組み合わせることが大切です。