家督相続及び遺産相続
家督相続及び遺産相続を同一の法定相続情報にする場合を下図のような相続関係を例に説明します。
法定相続情報一覧図にすると下図のようになりますが、家督相続の場合は相続人が一人に限定されます。
用語では新しく戸主になる人の肩書が「子・家督相続人」となります。
なお本件の例では家督相続の原因が「隠居」になっていますが、生前に家督相続する場合の原因は色々ありますので、
下図の「隠居」の部分は法務局の支持に従って加筆修正をする必要があります。
2ページ目には死亡を原因とする遺産相続の法定相続情報一覧図が付きます。
子供の肩書は「子・遺産相続人」になります。
また配偶者については、被相続人の死亡時点では生存していますが、被相続人には子供がいますので、
配偶者には相続権が無く、遺産相続人ではないので表示しません。
作成ポイント
家督相続と遺産相続が同一の被相続人に発生する場合は、遺産相続の唯一の原因が「死亡」という事ですので、
必ず家督相続の原因は「隠居」等、生前に発生した事になります。(家督相続のみの場合は死亡が原因となる事もある)
よってこのような場合は例え同一人であっても
それぞれの原因に則した別人であり別家族という形態を本ソフトでは設定します。
よって当事者リンク機能も設定してはいけません。
遺産相続に関する設定を先にする
本ソフトは現行民法を基準に家系図を作る事が前提になっていますので、基本的に死亡を原因とする遺産相続を
中心に当事者目録や家族の設定をします。
1.遺産相続人の肩書の設定
法定相続情報一覧図では常に被相続人から見た時の続柄を系図上に表しますが、遺産相続の場合は
相続人を「遺産相続人」と呼びます。
さらに被相続人から見た時の続柄を相続権者には冠するので、上図の場合は「子・遺産相続人」となります。
遺産相続人になる人を子供欄で選択状態にして、リストから「子・遺産相続人」を選択します。
なお配偶者が遺産相続人になる時は妻又は夫の肩書を直接「遺産相続人」に書き換えます。
本件の例では乙野花子にも相続権があるので、子の肩書の設定を同様に行います。
2.法定相続情報一覧図を出す際に、相続権のある人のみを表示させる
配偶者については、被相続人の死亡時点で生存していても、被相続人には子供がいますので、その場合
配偶者には相続権が無く、遺産相続人ではないので本件の場合は甲野一子は選択しません。
ちなみに昭和22年5月3日以降に被相続人が死亡した場合は遺産相続ではなくて相続になり、
配偶者にも相続権があるので選択します。
なお家督相続と遺産相続を一つの証明で受ける場合は家督相続の原因が先になるので、遺産相続についての
ページは2枚目以降になりますから、表題部追加情報欄に「2/2」と入れます。
但しもし3枚以上になるようなら「/総ページ数」とします。例えば /3 や /5 となります。
家督相続に関する設定をする
次に家督相続についての当事者目録や家族の設定を新たにします。
1.当事者目録に家督相続の被相続人のデータを追加設定
家督相続上の被相続人である甲野一郎のデータを作る為に、遺産相続での被相続人である甲野一郎のデータを複製します。
但し、死亡年月日は本件の例では隠居した日になりますので複製しません。
@「当事者目録の設定」ウインドウを出して、「当事者リストに新規追加」ボタンを押します。
A「他の人のデータを利用」ボタンを押します。
Bリストから甲野一郎を選び、氏名、本籍、生年月日にチェックをいれて、「実行」ボタンを押します。
このとき
死亡年月日は本件の例では隠居した日になりますので複製しません。
C死亡年月日の欄に
隠居した日の日付をいれて、「リスト登録」ボタンを押します。
リスト登録する前に、登録する人の性別のチェックを忘れずにして下さい。
D同一人物の二重登録を避ける為の警告メッセージが出ますが、「はい」ボタンを押して登録します。
「当事者目録の設定」ウインドウに被相続人である甲野一郎のデータが出ているのを確認して下さい。
2.当事者目録に家督相続人のデータを追加設定
家督相続上の家督相続人である甲野太郎のデータを作る為に、遺産相続での遺産相続人である甲野太郎のデータを複製します。
@「当事者リストに新規追加」ボタンを押します。
A「他の人のデータを利用」ボタンを押します。
Bリストから甲野太郎を選び、氏名、住所、本籍、生年月日にチェックをいれて、「実行」ボタンを押します。
この時、被相続人の登録から続けていると「住所」のチェックが外れていますので、必ずチェックを入れて
住所も
コピーされるようにします。
Cコピーした内容を確認して、「リスト登録」ボタンを押します。
リスト登録する前に、登録する人の性別のチェックを忘れずにして下さい。
D同一人物の二重登録を避ける為の警告メッセージが出ますが、「はい」ボタンを押して登録します。
「当事者目録の設定」ウインドウに家督相続人である甲野太郎のデータが出ているのを確認して下さい。
3.家督相続用の家族のデータを追加設定
家督相続上の被相続人と家督相続人との関係を示す家族データを作ります。
@「家族構成へ」ボタンを押します。
A「家族関連の設定」ウインドウで「新規追加」ボタンを押します。
すると登録未設定の家族がリストに追加されます。
B家族リストに登録する。
被相続人は男性なので「男系」をチェックします。
そして男性の選択欄から未婚
マーク(◎)がある5番目の甲野一郎を選択します。
また女性の選択欄からは
既婚マーク(♪)がある2番目の甲野一子を選択します。
そして「リスト登録」ボタンを押します。
甲野一子については登録上は再婚状態になっていますが、系図上は遺産相続も家督相続も男性が被相続人なので
それぞれ「男系」を設定している為、二つの家族の系図は分離状態になっています。
気持ちが悪いと思われる方は、甲野一子についても当事者目録に新たに設定して2番目の甲野一子とは別人格で
家族に登録すると良いでしょう。
C「夫婦確定」ボタンを押して夫婦として確定させる。
D子供の追加をする
夫婦が確定されると、子供の設定ができるようになりますので、「子供の追加」ボタンを押して子供を追加します。
E子供の選択リストから家督相続人になる子供を選択する。
4番目の甲野太郎は既に遺産相続時の家族の子供になっているので、ここでは新たに追加した6番目の甲野太郎を
選択してから、「登録決定」ボタンを押します。
F実の両親として登録する。
「はい」ボタンを押すと被相続人の甲野一郎は実の両親になりますが、「いいえ」なら養子縁組した事になります。
養子に入って戸主になる場合などは「いいえ」を押しますが、本件の例では遺産相続も家督相続もどちらも実子で同じ甲野太郎
なので、ここは「はい」ボタンを押します。
G子供の肩書を「子・家督相続人」にする。
下図のように子の肩書欄から「子・家督相続人」を選択して、「登録」ボタンを押します。
4.家督相続用の法定相続情報一覧図を出す
@遺産相続時の家族を系図に出ないようにする。
「家族関連の設定」ウインドウの上部にある「作図開始」ボタンを押すと、下図の「系図表示設定」ウインドウが開きますが、
ここで遺産相続時の家族が表示されないように「非表示にする家族の選択欄」から1番目の家族を選択状態にします。
A相続権のある人のみを表示させる
新戸主以外には相続権がありませんので、甲野太郎だけを選択します。
また本件の例では隠居が原因なので
「隠居による家督相続」にチェックを入れます。
死亡以外の原因で家督相続が開始する場合はチェックして下さい。
そして家督相続は1ページ目になるので表題部追加情報欄に「1/2」と記入します。もし遺産相続の法定相続情報一覧図が
数ページになるようでしたら、ここには「1/総ページ数」となります。例えば 1/3 や 1/5 などです。
B申出人と作成者欄を一覧図に表示しないようにする。
家督相続に関する法定相続情報一覧図は1ページ目になるので、申出人と作成者欄は表示させる必要がないので
「申出人と作成者の設定」ウインドウの上部にある「この系図では設定の記載を省略」にチェックを入れます。
但し、
もし系図上に申出人がいる場合は必ず申出人の設定欄で該当者を選択しておかないと(申出人)の
マークが系図上に出ません。
また本件の例では
遺産相続の時の申出人である4番の甲野太郎が選択されていると、家督相続人である6番の甲野太郎
とは別人になるので、下図のように選択を変更しておく必要があります。
「設定完了」ボタンを押すと法定相続情報一覧図が表示されます。