azasuマニュアル

改訂履歴

V1.0 初版 2024年06月05日

1 初めに

スニペットツールは定型文の入力支援ツールの一種で、よく使うテキストを登録しておき、ショートカットキーやキーワードなどで簡単に呼び出すものです。辞書登録とよく似ていますが、次の点が違います。

  1. 登録対象
    辞書登録に登録するのは単語や簡単な文章です。一方スニペットツールは改行を含んだ定型文やカーソル移動など辞書登録と比べると様々な定型文を登録できます。
  2. 呼び出し方法
    辞書登録では変換候補として表示され、候補から選択して確定するといった手順になります。一方スニペットツールはキーワードやショートカットキーで簡単に定型文を呼び出せます。
  3. 目的
    辞書登録はキー入力をさまざまな単語や文書に変換することが目的です。一方スニペットツールは入力時間の短縮、作業効率向上を主な目的としています。

スニペットツールをうまく活用すれば入力効率を大きく向上させることができます。

2 スニペットツールの問題

このようにスニペットツールは便利なツールですが、日本語入力では使いにくいという問題や確定操作に次のような問題があります。

キーワードの制限

スニペットのキーワードに母音が含まれていて、日本語入力がオンのとき、入力したキーワードの文字数以上の文字が削除されてしまいます。
このことからスニペットのキーワードには母音を含めることができないという制限があります。azasuではこのようなキーワードの制限はまったくありません。

IMEがオンのときに中途半端に変換されてしまう

IMEがオンのときにアルファベットを出力すると中途半端に日本語に変換されてしまいます。例えばIMEがオンのときに「internet」と出力すると「いんてrねt」と変換されてしまいます。
これを回避するためには、IMEをオフにしてからスニペットツールを使うか、出力する定型文にIMEをオフにする機能を登録する必要があります。(海外製のツールではIMEの制御を直接行うことはできません)
azasuではIMEのオン・オフに関わらずアルファベットの定型文を正しく挿入できます。

クリップボードが汚れる・履歴が汚れる

IMEがオンのときに中途半端に変換されることを回避するために、クリップボードを経由して定型文を貼り付ける方式のスニペットツールがあります。しかし、クリップボードを経由しているために、ユーザーがコピーしていたクリップボードの内容が壊上書きされてしまう場合があります。また、このクリップボードは上書きしないように工夫したツールもありますが、Windowsの標準機能のクリップボード履歴に残ってしまうという問題があります。
azasuもクリップボード経由で定型文を貼り付けていますが、クリップボードおよびクリップボード履歴も汚さないように工夫しています。

誤発動してしまう

これは、これまでのスニペットツールの共通の問題で、キーワードに偶然マッチしたり、確定キーを設定していても偶然確定キーにマッチすると思わぬところで定型文が挿入されてしまう誤発動という問題がありました。
azasuでは確定キーにShiftキーや変換・無変換キーを指定することで誤発動を防ぐようにしています。

azasuはこのようなこれまでのスニペットツールの問題を解決するとともに、極力シンプルな仕様にして誰もが簡単に使えることを狙いとしています。

2 azasuの特長

ポータブル

ポータブルなアプリでインストールすることなく、すぐに利用できます。
USB メモリなどでこのソフトウェアと辞書ファイル・設定ファイルを持ち運ぶことにより、どのパソコンでもすぐに利用することができます。

使い方が簡単

辞書ファイルに定型文とキーワードのペアを登録すれば、後はキーワードを入力して確定キー(デフォルトはShiftキー)を押せば定型文を呼び出せます。このように憶えなければいけないことを最小限にして学習コストができるだけ低くなるように工夫しています。

日本語対応

  1. 母音を含めたキーワードを設定できる
    たとえば「azasu(あざす)」というキーワードに「ありがとうございます。」という定型文を登録することができます。これがazasuというツールの名前の由来にもなっています。(azasuは「A to Z All character to String Utility」 の略)
    多くのスニペットツールではこのような子音と母音の組み合わせでキーワードを設定するとIMEがオンのときに余分に文字が削除されるという問題がありました。
  2. IMEの状態に依存せずに登録した定型文が挿入される
    キーワードに「inet」とし定型文に「internet」の場合、IMEがオンでもオフでも正しく「internet」と出力されます。また定型文を出力した後に、元のIMEの状態に戻ります。

誤発動しない

確定キーはデフォルトでShiftキーになっていますが、短く押したときだけ確定になります。通常の大文字のアルファベットを入力するためにShiftキーを押しながら他のキーを押したときには確定操作にはなりません。Shiftキーが確定キーなので誤発動はしません。

2.4 シンプルで邪魔をしない

辞書ファイルの単語登録は簡単で、IMEの状態をまったく意識せずに使えるシンプルなツールです。
また、入力中にキーワードにマッチしたら0.5秒後にカーソル付近に定型文または定型文の一部がツールチップとして表示されます。キーワードにマッチしても0.5秒後以内に次のキーを入力すればツールチップはまったく表示されません。このように必要なときだけに定型文のツールチップを表示するので、高速に入力している場合は、azasuが裏で稼働していることをまったく意識せずに入力作業を行えるので邪魔になりません。

3 インストール

ダウンロードした圧縮ファイルを適当なフォルダに解凍します。

4 操作方法

(1)プログラムの起動

解凍したフォルダ内の「azasu.exe」をダブルクリックして起動します。また、設定で自動起動にすれば、次回からパソコン起動時に自動的に起動するようになります。

(2)定型文の呼び出し

辞書に登録したキーワードを入力します。登録しているキーワードにマッチしたらカーソル付近にヒントが表示されるので確定キー(デフォルトではShiftキー)を短く押します。即座にキーワードに対応した定型文が挿入されます。Shiftキーを0.2秒以上押し続けると確定キーの機能はキャンセルされます。これは通常のShiftキーの操作をしたときに誤って確定することを防ぐためです。
また、設定で「変換」または「無変換」キーを確定キーに設定した場合はこれらのキーを押しても確定して定型文が呼出されます。これらのキーにはキーを押す時間の制限はありません。

(3)入力の継続

キーワードにマッチしたときに確定キーを押さずに継続してキー入力すると続けて入力することができます。また、短いキーワードにマッチした後、キー入力を継続して長いキーワードにマッチさせることもできます。

キーワード:o   定型文:思い
キーワード:oha  定型文:おはようございます。

の場合は「o」を入力した時点で「思い」のヒントが表示されますが、続けて「ha」を入力すると「おはようございます。」のヒントが表示されます。

(4)初期の辞書

初期の辞書の内容は次のようになっています。
例えば「azasu」と入力すると「ありがとうございます。」と出力されます。

;---- azasu ----
azasu|ありがとうございます。

;---- 挨拶 基本パターン ----
oha|おはようございます。

;---- ヒント指定パターン ----
hint|このヒントが表示される|ヒント指定パターンの出力です

;---- 長文パターン ----
long|長文パターン|a
これは長文パターンの例です。
改行を含めて定型文を登録できて便利です。
a

;---- クリップボード文字列挿入 {v} ----
clip|クリップボードの内容は「{v}」です。

;---- カーソル位置指定 {c} ----
cursor|カーソルは→{c}ここに移動します。

;---- 年月日 {yyyy} ----
today|今日は{yyyy}年{MM}月{dd}日({w})です。

;---- 他の定型文を挿入 {#keyword} ----
other|azasuと入力すると「{#azasu}」が挿入されます。

5 辞書

辞書ファイルにキーワードと定型文を登録します。辞書ファイルはテキストファイルでメモ帳などで編集することができます。

5.1 辞書ファイル

辞書ファイルはazasuをインストールしたフォルダ内の「dic.txt」ファイルです。
辞書ファイルをメモ帳などのテキストエディタで開いて編集します。辞書編集キー(デフォルトはCtrl+Shift+e)を押すとメモ帳で辞書ファイルを開きます。

5.2 辞書のパターン

(1) 基本パターン

キーワードと定型文の登録にはいくつかのパターンがあります。一番簡単な基本パターンは次のようになっています。

キーワード|定型文

キーワードと定型文は「|」で区切ります。

キーワード「oha」を入力すると次のようにヒントが表示されます。
hint
確定キーを推すと「おはようございます。」が挿入されます。

(2) ヒント指定パターン

入力がキーワードと一致するとヒントが表示されます。ヒントはデフォルトでは定型文の最初の12文字になっています。

hint|ヒント指定パターンの出力です

と登録している場合、ヒントは「ヒント指定パターンの出力」になります。
hintx

このヒントを次の形式で明示的に指定することができます。

キーワード|ヒント|定型文

と登録している場合、ヒントは次のように「このヒントが表示される」と表示されます。
hint2

(3)長文パターン

改行を含めた長文を定型文に登録することができます。

キーワード|エンド文字
長文
エンド文字

エンド文字とはアルファベットの小文字の「a」から「z」の任意の一文字です。

long1|a
これは長文パターンの例です。
改行を含めて定型文を登録できて便利です。
a

キーワード「long1」と入力して確定すると

これは長文パターンの例です。
改行を含めて定型文を登録できて便利です。

が挿入されます。

長文パターンもヒントの文字列を指定することができます。

long1|長文1|a
これは長文パターンの例です。
改行を含めて定型文を登録できて便利です。
a

このように辞書を登録した場合、キーワード「long1」と入力すると「長文1」というヒントが表示されます。

5.3 辞書の特殊文字

辞書に登録する定型文の中には特殊な機能を持った特殊文字があります。

(1) クリップボード文字列挿入 {v}

クリップボードとは、コピーした文字列のことを言います。定型文の中にある{v}は、このクリップボードの文字列に置き換えられます。

(2) カーソル位置指定 {c}

定型文が挿入された後に、定型文の中の{c}の位置にカーソルが移動します。

(3) 年月日時刻

定型文の中に、次の年月日時刻を示す特殊文字を入れて現在の年月日や時刻を挿入することができます。

(4)他の定型文を挿入 {#キーワード}

定型文の中に、他の定型文をキーワードを指定して挿入することができます。

キーワードから他のキーワードを挿入し、更にそのキーワードの中で他のキーワードを挿入することもできます。最大20回繰り返して他のキーワードを挿入することができます。
キーワードから自分自身を定型文の中に入れると、無限ループになりますが、これも20回で停止するようになっています。

6 設定

6.1 設定の呼び出し

タスクトレイのアイコンicoを右クリックすると次のようなメニューが表示されるので「設定」をクリックします。(「バージョン情報」をクリックするとazasuのバージョンを表示します。「終了」をクリックするとazasuを終了します)
menu

次のような設定窓が開きます。
option

6.2 設定

①変換キーで確定
このチェックボックスをチェックするとShiftキーに加えて日本語配列のキーボードの「変換」キーでも確定することができます。ただし「変換」キーの本来の機能は使えなくなります。

②無変換キーで確定
このチェックボックスをチェックするとShiftキーに加えて日本語配列のキーボードの「無変換」キーでも確定することができるようになります。ただし「無変換」キーの本来の機能は使えなくなります。

③辞書編集キー
このボックスをクリックして、辞書編集キーにしたいキーの組み合わせを押すとボックスにキーが表示され辞書編集キーを変更できます。

④遅延時間(秒)
キーワードにマッチしてから、ヒントを表示するまでの秒数を指定します。(少数指定可)

⑤有効時間(秒)
ヒントの表示時間を秒数で指定します。(少数指定可)ヒントが消えると確定キーは無効になります。

⑥ヒント透明度
スライダーでヒントの表示の透明度を0~100で指定します。0が透明で100が不透明です。

⑦自動起動
このチェックボックスをチェックするとパソコン起動時に自動的にazasuを起動します。

⑧設定
このボタンをクリックすると、設定した内容が保存されます。

⑨キャンセル
このボタンをクリックすると、設定はキャンセルされます。

※設定は「azasu.ini」ファイルに保存されます。

6 最後に

このソフトに関するご感想、ご意見、ご要望、バグなどありましたら、下記までご連絡ください。