■チュートリアル2 「実用編」の説明

チュートリアル2では前のチュートリアルで作成した電子ブックを利用し、設定ファイルの残る項目設定と基本サウンド(BGM)や自動ページ送り機能等の使用方法を学びます。チュートリアル2では最初に設定ファイルを開き、指示された設定変更を行った上で上書き保存し、WINDを再度起動して動作を確かめるという作業を繰り返します。最初に注意しておきますが、ブラウザはキャッシュと呼ばれる特殊なファイル処理をしており、場合によっては変更した内容が反映されない場合があります。設定が間違っていないにもかかわらず動作がおかしい場合は、次の方法を試してみて下さい。

1.メニューでページの再読み込みを行う。
2.ブラウザを再起動する。
3.ブラウザのキャッシュをクリアして、ブラウザ自身も再起動する。(ブラウザは設定メニューの中で手動でキャッシュをクリアする機能が提供されています)

【設定ファイル】

●ページ進行方向を変える

基本となるページ進行方向を決定するのが次の設定です。進行方向は読者が閲覧中に操作パネルの方向切り替えボタンで変更することもできます。

ctlDir = 'R';

一般的な西洋書物は横書きで右方向が基本です。そのため初期設定は右方向のRに設定してあります。日本語のように縦書きを主体とする場合(昨今は横書きが主流になりつつあります)は左方向になるため、設定値をLにして下さい。ただし、ブラウザでは慣習として縦書き横書きにかかわらず右進行を基本にしているため、特に問題なければそのままでもかまいません。ページ単位で表示するWINDの場合は進行方向にさほど大きな意味はなく、むしろ読者の慣れに左右される類のものです。なお、見開き状態の2ページをWINDでの1ページとして制作した場合、ページ進行方向が意味を持つようになります。

●画像ページの配置位置を決める

ページ幅設定値(pageW)に比べて実際の画像ページが小さい場合に、ページ配置をどこにするかを決定するのが次の設定です。主にHTMLのページ配置位置と一致させる目的で使用します。

imgPos = 'C';

初期設定は中央(Center)でCとなっています。左寄せ(Left)にする場合はL、右寄せ(Right)にする場合はRにして下さい。いずれも大文字で記述します。HTMLのページの場合は、各ページ内でコンテンツの配置位置を記述して下さい。なお、複数のレイヤーでページを構成するような場合は、位置合わせのためにLに設定すると良いでしょう。

●ページサイズを変える

WINDに表示するコンテンツのページサイズ設定は次の部分です。初期設定値は下記の通りで、概ねA4等の用紙比率にしてあります。標準モードの場合はこの値を基準にして下さい。設定値とコンテンツのサイズは必ずしも同一にする必要はありませんが、設定値よりも大きなサイズのコンテンツを含めた場合には、スクロールバーが自動的に表示されます。操作性と視認性を確保するために、なるべく設定値とコンテンツの大きさを一致させるようにして下さい。

pageW = '630';
pageH = '900';

上がページのヨコサイズ、下がタテサイズで、いずれもピクセル数で指定します。上部の情報表示エリアや操作ボタンを表示するために、ブックサイズを決める場合は最低値(操作パネルも含めたサイズ)に注意して下さい。

WINDの場合はスマホ等の携帯端末を最低サイズと考え、これをヨコ360ピクセルとしています。この場合に限り、WINDはモバイルモードとして通常とは違う操作パネルレイアウト(具体的には操作パネルを上部に配置)で起動します。ページサイズは次の値を参考にして下さい。

pageW = '360';
pageH = '700';

(参考)
ページサイズは基本的にフリーのため自由にヨコとタテのサイズを設定できますが、ターゲットの機器の画面表示エリアに収まらない場合は、正常に表示できないため起動を中止します。従って、ブック制作を始める前にページサイズは十分吟味するようにして下さい。

●自動進行時(AUTO)のページ表示時間を変える

WINDは操作パネルのAUTOボタンをクリックすると自動進行モード(自動ページ送り&スクロール)に切り替わり、読者がページ操作をしなくても自動的にページめくりを行ってくれます。この時のページ表示時間を決めているのが次の設定です。

pageTime = '30';

値は秒で設定し、初期値は30秒になっています。最小値は15(秒)で、それ以下に設定しても短くはなりません。設定は全てのページに適用されますから、実際の制作においては電子ブックの中心的な表示時間を設定して下さい。読者の読み心地に直結するため最適な値を決定するようにします。

(参考)
WINDにはIPCと言うページ表示時間制御機能が搭載されており、各ページ毎に表示時間を決定して適切な読み心地を提供します。詳しい設定方法はチュートリアル3をご覧下さい。

●0章と最後の章の名称を変える

cnS = '巻頭';
cnE = '巻末';

cnSは0章の、cnEは最後の章の名称設定です。例えば0章は馴染みの無い表記で分かりにくい場合もあるでしょう。そこで分かりやすい名称に置き換えるのがこの設定です。0章であれば巻頭、初章、表紙、トップ等、巻末であれば最終章、裏表紙、ラスト等が候補になります。変更する必要が無ければ、設定欄は空白のままで構いません。

●電子ブックの公開有無を決定する

WINDをホームページの一部等に利用する場合、コンテンツを公開するか否かを設定することができます。

openSelect = '1';

はブックを非公開に、は公開にします。ネットで使用する場合等、ブックが公開可能になるまでは非公開にすることができます。

●ローカル(PCのディスクドライブ上から起動)でのセキュリティ上の制限を回避する

net = '0';

はローカルでの使用、はネットで使用する時の設定です。

WINDをローカルで使用する場合、ブラウザのセキュリティ仕様上、一部のプログラムコードが実行されません。その影響でWINDでは自動ページ送り&スクロール機能が動作しないため、これを回避するために設定値を0にします。ただし、ページ表示部の右側に縦スクロールバーがあっても自動スクロールはせず、手動のみの動作に限定されます。(ブック外側の自動スクロールは有効です)



【BGM】

WINDをエンターテインメント系の作品媒体に利用する場合はBGMが効果的です。そこで、チュートリアルで作った電子ブックでBGMを演奏するようにしてみましょう。チュートリアルでは2章にBGMを追加してみます。

1.BGMデータの準備

チュートリアル2フォルダの中にはBGM部品というフォルダがあり、これを開くと中にmp3の音楽ファイルが入っています。ファイルはメディアプレーヤー等でそのまま演奏できるデータで、これがBGMのファイルとなります。BGMにはブラウザがサポートしているファイル形式が使えます。WINDにおけるBGMは章全体に渡って演奏が続きます。そのためあらかじめWINDに認識させておいて、必要に応じて利用する方法をとります。WINDでは1つの章に対して1つのBGMを付けることができます。

まず、部品bgm01.mp3をチュートリアルで作成した電子ブックにコピーして下さい。コピー方法はページファイルをコピーした時と同じです。コピー先は次のように順にフォルダを開いて進んで下さい。

wind → book → bgm

bgmフォルダ内にデータをコピーしたら準備は終わりです。実はWINDには元々AD-BOOKのメインテーマとして、bgmフォルダに同名のファイルが入っています。今回コピーするファイルは同じものですが、練習としてあえてコピーを実践してみました。そのまま上書きしてファイルを置き換えて下さい。

2.設定ファイルの編集(BGMの登録)

WINDでBGMを利用できるように設定をします。設定ファイルを見ていくとBGM関連の設定項目がありますので、BGMのファイル登録を済ませておきましょう。

bgmF[0] = 'bgm01.mp3';

この式の左辺の[]内の数字は章を意味します。すなわち、設定値の0章に登録するという意味になります。右辺は登録するファイル名で、この例ではbgm01.mp3になります。拡張子を含むフルネームで記述して下さい。.mp3はファイルがMP3形式を意味します。初期状態では既に0章にBGMが登録されています。チュートリアルでは0章ではなく2章に登録したいので、次のように変更して下さい。

bgmF[0] = '';
bgmF[1] = '';
bgmF[2] = 'bgm01.mp3';
・・・

3行目が曲を登録した部分です。左辺の[]内が2、つまり章になっています。1行目は曲の登録が無くなったので、ファイル名の部分が他の登録曲の無い章と同じように空白(何も書かない)にします。

3.設定ファイルの編集(BGMの使用)

登録が終わったら、WINDでBGMをどのように扱うか設定します。設定ファイルの上の方に項目があります。

enableBgm = '1';

enableBgmは電子ブックでBGMを使用するかどうか指定します。ひな形では2章に曲を登録してあり、初期設定ではBGM使用を許可しています。数値が1の場合が許可で、0にすると禁止になります。

チュートリアルでは2章にBGMを設定したため、電子ブック起動後に演奏許可とします。この場合の設定は変更する必要がありません。

BGMを演奏する章を変更したので、設定した2章でBGMが演奏されるか確認して下さい。もし0章で演奏してしまったら、2.で行った設定が正しく実施されていませんので訂正して下さい。もし2章で演奏しなかったら、上記の設定値が0になっているかもしれません。正しいにもかかわらず演奏しなければ、お使いのブラウザでMP3の演奏をサポートしていないか、PCのサウンドが無効になっているかもしれません。他のソフト等で演奏ができるかご確認下さい。

sound = '0';

WINDには操作パネルにサウンドをON/OFFするボタンがあります。BGMを演奏する場合はボタンをクリックして点灯状態にして下さい。soundは起動時にON/OFFのどちらにするかを指定します。はサウンドをOFFに、はONにします。

(参考)
ネットで公開する場合は突然音楽が演奏されるのを嫌う人が多いので、起動時にはOFF(初期設定のまま)に設定しておいた方が無難です。