2.(5)仕訳

複式簿記の記帳は資金の入手利用を一組で記録することだと述べました。だとすると、一回一回の取り引きを具体的にどう記帳したらよいのでしょうか。次の例で見てみます。
(例1)4月8日に衣類10万円を売り上げ、同じ日に、代金全額が普通預金に振り込まれた。
記帳は5要素を細分化した勘定科目で行いますので、取り引きがあるたびに、どの勘定科目で資金を入手してどの勘定科目で資金を利用したのかを考えます(この作業を仕訳と言います)。この例だと、収益の勘定科目である「売上高」で10万円を入手し、資産の勘定科目である「普通預金」で10万円を利用した(「利用した」がわかりにくければ「運用した」)、ということになるでしょう。あとは、「借方=資金の利用」を左に、「貸方=資金の入手」を右にして必要事項を表に記入して仕訳の完成となります(このような形式の表を仕訳帳と言います)。



入手と利用は一回の取り引きの二側面であり、必ず一組で発生します。形式としては、必ず左右に分けるものでなければならないという理由はなく、上下で一組にしたり二つの帳簿に分けたりすることもあります。しかし、その場合は図のような仕訳帳と比べると一覧性が劣ると思います。

なお、仕訳は左右で一組ですが、必ずしも一行に納まる場合ばかりではありません。例えば、先ほどの例を次のように少し変えてみましょう。
(例2)4月8日に衣類10万円を売り上げ、同じ日に、代金のうち5万円が現金で支払われ、残りは普通預金に振り込まれた。



このような仕訳のことを、複合仕訳と言います。

以上、仕訳について説明しましたが、勘定科目ごとに年間のすべての仕訳について、増加と減少を差し引きしながら累積すれば、貸借対照表と損益計算書ができあがることを再確認しておきます。




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