3.(7)自動計算 − 家事按分

「自動計算」にチェックが入っていると、家事按分処理が自動的に実行されます。

自宅兼事務所の電気料金など、ある支出に個人用と事業用が混ざっている場合は、事業使用分だけを経費に計上します。
これが家事按分です。


次のような例を考えてみましょう。
・7月分の電気料金が5,000円
・自宅40坪のうち、6坪を事務所として使用
・週7日のうち5日間、1日24時間のうち8時間、事務所として使用

この場合、事業使用分は次のように計算できます。
5,000円×(6坪/40坪)×(5日/7日)×(8時間/24時間) = 5,000円×3.6% = 180円

式の中に出てきた「3.6%」のことを按分率といいます。
按分率の算出は、合理的な説明が可能な範囲で、ご自分の事情にあった方法でしていただいて構いません。

家事按分の方法は、大きく分けて次の二つです。

@ 一つ一つの費用について事業使用分を計算して、経費に計上する。
A 一つ一つの費用については一旦全額を経費に計上し、決算時に家事使用分をまとめて差し引く。     

Aについては決算のところで触れますので、以下、@について説明します。

8月8日に、上の例の電気料金5,000円が、事業用の普通預金から引き落とされました。
摘要に「電気料金7月分、按分率3.6%」、借方科目に「水道光熱費」と入力します(下図)。



次に貸方科目に「普通預金」と入力すると、摘要の末尾が「按分率■%」という形式になっているので、普通預金から事業使用分と家事使用分を同時に支払う複合仕訳となります(下図)。



ここで、借方金額または貸方金額に「5000」と入力すると、5,000円×■%(事業使用分)と残り(家事使用分)に自動的に分けて下図のように入力されます。
事業使用分は「水道光熱費」として経費に計上され、家事使用分は「事業主貸」として事業用資金を事業主個人に貸した形になります。
なお、各項目をどのような順番で入力しても、結果は同じになります。



一度この仕訳をしておけば、次の月からは、「摘要・日付・金額の指定」を利用したドラッグ&ドロップで簡単に入力できるようになります。
また、仕訳アシスト機能の「支出」タブ「電気料金の支払い」を使えば、ここまでと同じことが、より簡単にできます。


次は、事業用ではなく、事業主個人の普通預金から引き落とされる場合です。
この場合は、事業用の費用を事業主個人の資金から借りる(事業主借)になります。
そこで、先ほどの仕訳の「普通預金」をそのまま「事業主借」に置き換えると、下図のようになります。



これはこれで間違いではないのですが、「事業主貸」と「事業主借」を一つの仕訳の中に入れることは普通ありません。
事業主個人から資金を借りてすぐに貸すというのは、あまり現実的でないからです。

そこで、「自動計算」にチェックが入っている状態で「普通預金」を「事業主借」に置き換えると、下図のようになります。



ここでは、事業使用分の180円だけを事業主個人から借りたことになっています。
しかし、それだけだと、後で「電気ご使用量のお知らせ」と照合するときに困りますので、属性欄に「5,000円を按分」と記録されています。


なお、家事按分は経費の計算だけでなく、固定資産の購入の際などにも必要です。
その際は、ここまでに述べたような単純な仕訳では済まない場合もありますので、できるだけ仕訳アシスト機能を利用されることをお勧めします。




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